「えっ、解散してたの?」
今、世間からこんな声が上がっているのは、日清カップヌードル「辛麺」のCMに起用された2人組だ。昨年惜しまれつつ解散したお笑いコンビ・ピスタチオである。
白目漫才でブレイクした2人は、お互い別々の道を歩むことを発表したが、今回のCMで再び顔合わせることになった。本来、CMは旬のタレントを起用するのが一般的だが、日清食品はじつに面白いところを突いてくる。
今年3月、お笑い芸人のサンシャイン池崎とともに栄養バランスを追求した商品「完全メシ」のCMに起用されたのは、都内のクレープ屋で働く一般人女性の木村佳代さん。人気バラエティ番組「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)で取り上げられ、声優の大山のぶ代さんが演じる国民的キャラクター・ドラえもんの声にそっくりだとして話題になっていた人物だ。
この話題は瞬く間にネット上で拡散され、3月に公式YouTubeチャンネルで公開されたCM動画は現在17万回視聴されるほどの人気ぶり。「ドラえもんが一生懸命宣伝してるみたい」「あの声で紹介されると買いたくなる」と、評判は上々だ。
それにしても、旬の人気タレントを使わずに、解散したお笑いコンビや一般人を起用するのはなぜなのか。
「たくさんのCMを掛け持ちする人気タレントを使うと、メジャー感は出ますが、肝心の商品が印象に残らず埋もれてしまう恐れもあります。商品によっては、ニッチなキャラを起用して『なぜあの人がCMに出ているの?』という視聴者の関心から、商品自体への興味につなげる方法もある。日清の戦略は、これが大当たりした典型ではないでしょうか」(広告業界関係者)
さて今後、どのような変わりダネがCMキャラクターに抜擢されるのだろうか。
(佐藤ちひろ)