5月21日、G7広島サミットが3日間の日程を終えて閉幕した。各国の首脳陣の中でも、世界的に注目を集めたのはウクライナのゼレンスキー大統領。20日に電撃訪日すると、滞在した約30時間で、アメリカのバイデン大統領やインドのモディ首相との会談、さらには原爆資料館の訪問など、慌ただしい日程を終えて21日夜にフランスの政府専用機で帰国の途についた。
5月22日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一 モーニングショー」では、ゼレンスキー大統領の訪日の成果について、「アメリカのF16戦闘機の供与容認」などの項目を挙げて解説。さらに「戦時下に遠く離れた日本を訪問したことでプーチン大統領は顔に泥を塗られた」との専門家のコメントも紹介した。
コーナー担当の板倉朋希アナウンサーが今回の電撃訪日について「G7前から、もしかしたら来日するんじゃないかという噂はありましたけど、実際に来て対面での参加ということになりましたね」と話を振ると、番組コメンテーターの玉川徹氏は「その成果がF16戦闘機の供与ということですよね」として、核兵器廃絶の話が進展していないと指摘。ノーベル平和賞受賞者のサーロー節子さんの「(サミットは)失敗だった」という発言にも触れて、こう続けた。
「すべての核をなくしていこうというところは、ぜんぜん出てこなかったわけですよね。そういうことの意味で言うと『TIME』誌がですね、最後、記事の最後のところで、『広島の亡霊の声を聞くことが使命なんだ』っていう風に言ってた。その広島で亡くなった人たちの声を聞いたんだろうか、このサミットは。だから軍事じゃなくて対話だとか、そういう風な話にあまりならなかったじゃないですか。結局、ゼレンスキーさんを呼んでしまったことで。ということで僕は若干、残念だと思います」
この「呼んでしまった」という発言は視聴者の間でも物議を醸し、SNSでは《呼んでしまった…厄介者みたいな言い方だな》《被害者の話を直接聞くことが重要じゃないのか》といったコメントが見られた。
「確かに、バイデン大統領との会談で西側諸国からのF16戦闘機の供与容認を取り付けたのは、ゼレンスキー大統領にとっては大きな成果と言えます。戦闘機の使用は、ウクライナ領内での防衛のみに限られますが、ウクライナ侵攻の戦況に大きな影響を及ぼすでしょう。しかし、ロシア側から見れば西側諸国の“決起集会”のように映ったのも事実。ロシアのラブロフ外相は『仕掛けられた戦争には断固として対抗する』とサミットを強く非難しています」(国際ジャーナリスト)
ゼレンスキー大統領を“呼んでしまった”ことでウクライナ情勢はどう変化するか。注目度はさらに高まりそうだ。