グループは絶好調でも「大不振」イトーヨーカ堂の切り札が「お砂場」のなぜ

 セブン&アイホールディングスは、22年度の決算で初の営業収益11兆円超えを達成したことを発表したが、その大部分が海外と国内のコンビニによるのもだったために、経営のバランスの悪さが指摘されている。

 外資系のいわゆる「モノ言う株主」からは、コンビニとイトーヨーカ堂などスーパー事業の切り離しを要求され、それが出来ないのであれば井阪隆一社長ら経営陣の交代まで迫られた。しかし、井阪社長らはこれを退けようと必死だ。

「井阪社長は、イトーヨーカ堂などのスーパーのグループで3年後の上場を目指すとしています。そもそもセブン&アイでは、経営資源の統合のために、05年9月にそれぞれ上場していたイトーヨーカ堂、セブン‐イレブン・ジャパン、デニーズを、HD化でセブン&アイ傘下にまとめたという経緯があります。不振のスーパー部門を、外資が要求するように外部に売却するのではなく、元あった形に戻して独自に採算が取れるように立て直すというのです」(経済ジャーナリスト)

 スーパー事業に関しては、既に採算の悪い店舗は大量に引き払い、祖業であったアパレルは捨てるという再建策を採っている。そこでさらにグループ内の「ヨーク」をイトーヨーカ堂に統合して再生を図るというのが井阪社長の狙いのようだ。

 そして、その経営再建の「切り札」として用意したのが「砂場」だという。

「アパレルを捨てた同社のライフスタイル事業部は、『フード&ドラッグと子供向け売り場の強化』を掲げています。そんな中、4月21日に改装オープンしたららぽーと横浜のヨーカ堂では、1階に30〜40代の子育て世代向けの商品が充実した売り場を設け、2階の子ども関連売り場を2倍にし、アトラクションを充実させるなど、子どもが楽しめる場になっています。中でも高さ3メートルにも及ぶ砂場の滑り台があるということで話題になっています」(前出・ジャーナリスト)

 つまり「子ども市場」に活路を見出そうというわけだが、果たしてモノ言う株主を黙らせることができるか。

(猫間滋)

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