静岡県沼津市のホテル「AWA 西伊豆」を運営する竹屋旅館が4月27日、テレビ番組で取り上げられたことで大きな物議を醸している「手の常在菌で発酵させたジュース」の提供を取りやめると発表した。
コトの発端は、4月23日に放送された「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)だった。ヘルスツーリズムとして健康をテーマとした旅行先を紹介した中で、AWA 西伊豆で提供する「自家製発酵ジュース」を取り上げたのだ。
放送では、このジュースに使われている発酵シロップが、「手の菌の常在菌というものを使って発酵させている」と説明され、実際に透明の瓶に入ったシロップに直接手を入れてかき混ぜる様子が放映されたのである。
すると、放送終了後に番組を見た視聴者から、《あまりにも不衛生すぎる》《食中毒になる可能性もあるぞ》など批判が殺到する事態に。これを受け、26日には竹屋旅館が公式サイトで、「私どもの発酵に対する知識不足でこのような事態となりました」と謝罪。すでに保健所の立ち入り調査も受けているといい、今後は保健所の指導を受けて厳正な対応を行なっていくと説明したのだった。
「手の常在菌には善玉菌だけでなく悪玉菌も多く存在しています。そのため、素手でかき混ぜて発酵させるという行為は雑菌を繁殖させることになりかねませんし、黄色ブドウ球菌によって食中毒を引き起こす可能性もあります。それをホテルが知らなかったというのはあまりに無責任です」(フリージャーナリスト)
「ヘルスツーリズム」どころか真逆の放送内容になってしまったという、テレビ局にとっても、そしてホテルにとっても、なんともお粗末な一件だったのである。
(小林洋三)