いまだに開催地が決まらない異常事態に見舞われている2030年の冬季五輪。これまで夏季・冬季ともに7年前までには開催都市が決まっていたが、今回は有力な候補地すらない状況だ。
最有力とされた札幌市は世論調査で過半数の住民が反対。加えて東京五輪開催をめぐる汚職事件の影響もあり、12月20日には招致活動の無期限休止を発表している。
他の候補地でもあった米・ソルトレークシティは、28年にロサンゼルス夏季五輪のわずか2年後であることから早々に辞退。すでに34年冬季五輪の招致へと切り替えている。
また、札幌市の最大のライバルだったカナダのバンクーバーも、11月に州政府が「数十億カナダドルの費用がかかり、潜在的なコストのリスクもある」と招致の不支持を発表。カナダ政府もこの決断を尊重する意向を示しており、事実上の撤退宣言だと受け止められている。
「もともと冬季五輪は夏季五輪ほどの人気はありません。しかも、ウインタースポーツが盛んで、かつ3000億円以上とも言われる開催費用を負担できる都市となると限られます。今月に入ってスウェーデンの招致レース参入が報じられましたが、まだ検討段階で実際どうなるかは不透明です」(スポーツジャーナリスト)
国際オリンピック委員会(IOC)は12月の理事会で、今年9〜10月にインド・ムンバイで開かれるIOC総会で予定していた開催地選出の延期を発表した。しかも、決定時期は今のところ未定のままだ。
「準備期間の問題もあり、IOC側は遅くても24年中には決めたい意向です。スウェーデン・オリンピック委員会のウェブサイトに掲載された声明には『必要な会場は全部ある』とありましたが、それでも莫大な開催費用がかかり、越えなければならないハードルは多いんです」(前出・ジャーナリスト)
ネット上ではそんなスウェーデンに対して《札幌市民は喜んで譲るだろう》《札幌市民ですが、スウェーデンに招致されることを祈っています》など応援コメント一色。民意はすでに自国開催にNOを突きつけているのだ。