崩れる専守防衛…「国民の決意」を求める閣議決定に膳場貴子アナが鋭い指摘

 岸田内閣が「敵基地攻撃能力」「反撃能力」を盛り込んだ国家安全保障戦略など安保関連3文書を閣議決定したのは昨年12月16日。これによって、「専守防衛」の基本方針は大きな転換を迫られそうだ。

 1月7日放送の「報道特集」(TBS系)では、この「安保政策大転換」を受けて、元衆議院議長の河野洋平氏にインタビュー。河野氏はインタビューの中で、「反撃能力というのは威嚇ですよね」「明らかに武力による威嚇」として、「(岸田政権は)どう説明をなさるのか。私にはわかりません。政治や外交の努力を抜きにして、ただ壁だけ建てていく。壁ならまだいいけども、壁の隙間から鉄砲を向けて狙うというのは本当の安全だとは思わないですね」と安保関連3文書の閣議決定に強い懸念を示した。
 
「河野氏はインタビューの中で、今回の安全保障の転換は、国の性格を変えるほどの重大な問題だと指摘。それだけに、閣議決定ではなく、国会で議論をする必要性を訴え、さらに総選挙で国民の意思を問うべきとの考えを示していました。自民党の重鎮では山崎拓元副総裁も、FNNのインタビューで岸田総理の決断について『非常に残念』と述べたうえで『増税で苦しむのは一般国民』と非難していました。大物OB議員がここまで真っ向から現政権を批判するのは珍しいのではないか」(政治ジャーナリスト)

 河野氏のインタビュー映像を受けて、スタジオでは番組キャスターの膳場貴子アナウンサーがこのように語った。

「閣議決定された安保関連3文書にある一文なんですけども、『国家としての力の発揮は国民の決意から始まる』と書かれています。国会での議論はほとんどないまま、つまり私たち国民の頭越しに閣議決定という方法で国のあり方が変えられているのに、そこに国民の決意を求めてくること、みなさんどうお感じになるでしょうか」

 膳場キャスターの背後のモニターには、安保3文書の中に記された「国民の決意」の文字が大きく映し出されていたこともあって、SNSでは《膳場さんの鋭い指摘、がんばって!》《膳場さんのおっしゃる通り。なんでも閣議決定で決めるのは民主主義じゃない》《誰も決意してないのに…なんでも閣議決定か》といったリアクションが続々。コメントの反響は大きく、Twitterでは「膳場貴子」がトレンド入りした。
 
 政府は1月23日に通常国会を召集する見込みだが、反撃能力をめぐる与野党の論戦にいっそう注目が集まりそうだ。

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