フリーアナウンサーの膳場貴子が司会を務めるTBS系「サンデーモーニング」が好調だ。ここにきて番組捌きが板につき、世代交代は成功したかに見える。しかし古くからの番組ファンは、詰めの甘さや違和感を随所に感じているようだ。やはり前任者・関口宏の「36年の歴史」は重い。(5月13日配信記事)
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フリーアナウンサーの膳場貴子が、前任の関口宏に代わってTBS系情報番組「サンデーモーニング」のMCに就任したのは今年4月のこと。およそ1カ月が経って、一部では「視聴者離れ」がささやかれているが、5月12日の放送回では、これまでの慣例を破ったことで、視聴者からは困惑の声があがっている。
注目を集めたのはスポーツコーナーの終盤。5月6日に行われたボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ、井上尚弥対ルイス・ネリの一戦を取り上げ、スポーツコーナー担当の唐橋ユミが試合を振り返る。ルイス・ネリ選手が“悪童”と呼ばれる所以や、1ラウンドでダウンを喫した井上選手がすぐに立たずに8カウントで立ち上がった理由について専門家のコメントを紹介した。
これを受けて、司会の膳場が話を振ったのは、この日の御意見番。レスリングで世界選手権13連覇の記録を持つ吉田沙保里氏に「勝ち続けることの大変さっていうのは吉田さん、すごくよくわかっているらっしゃると思うんですけど」と尋ねると、吉田氏は「ただ私は負けたくない一心で…。絶対負けたくない。これだけやってきたんだからっていう気持ちで。最後は気持ちで戦ってました」と述べて井上選手の「5階級制覇」に期待を寄せていた。同じく御意見番でプロ野球解説者の里崎智也氏も「ダウンしたことないのに、した時の対応力のすごさが際立ちますよね」と絶賛。膳場が「この後もスポーツ続きます」とアナウンスしてCMに切り替わった。
ボクシングの話題が終わると、SNSでは《あれ?寺島さんのコメントは?》《関口さんの時は寺島さんに話を振っていたのに》《膳場さんに喝だよ》《寺島さんをスルーか…モヤモヤする》といった声が寄せられていた。
「スポーツコーナーは御意見番のコメントを優先すべきかもしれませんが、ボクシングの話題では、前任の関口宏さんは必ずと言っていいほど政治評論家の寺島実郎さんにも意見を求めていたものです。22年末の王座統一戦でドロー決着となった井岡一翔選手については『負けないボクシングでカウンターボクシングなんですよ』と解説していたものです。寺島さんは大のボクシングファンで、アマチュアながらボクシング経験者。里崎さんも吉田さんも、アスリートとしての実績は十分ですが、ボクシングに関しては寺島さんの方が面白い話をしてくれていたかもしれませんね」(メディア誌ライター)
古くから番組に親しんだ視聴者にすれば、「膳場体制」を強く印象付けられる放送回となったようだ。