12月3日放送の音楽特番「ベストアーティスト2022」(日本テレビ系)で20年ぶりとなる一夜限りの復活を果たした「ブラックビスケッツ」。96〜02年放送のバラエティ「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」(同)から生まれた、南原清隆、ビビアン・スー、天野ひろゆきの3人組ユニットで、今回披露した「Timing」(98年)は148万枚のセールスを記録している。
また、同じ番組から生まれた内村光良、千秋、ウド鈴木の「ポケットビスケッツ」は、シングルCD6枚をリリースして総売上はブラビを上回る403.9万枚。この2組のように90年代にはテレビ番組発のユニット・グループが数多くデビューし、ミリオン越えの大ヒットとなったケースも少なくない。
番組発生ユニットの幕開け的存在といえば、フジテレビのバラエティ「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」で山田邦子と横山知枝が組んだ「やまだかつてないWINK」だろう。90年発売の2枚目のシングル「さよならだけどさよならじゃない」は27万枚を売り上げ、当時の卒業式の定番ソングとなった。
とんねるずの全盛期の1998年には、「みなさんのおかげでした」(フジ系)から「野猿」が生まれた。同番組の大道具、特殊効果、カメラマンなどの裏方スタッフをバックダンサーとして、とんねるずと11人で結成。デビューシングル「Get down」から「Fish Fight!」まで全シングル11枚がトップ10入りし、他局の音楽番組をも席巻した。同番組からは2008年に矢島美容室も誕生。とんねるずとDJオズマによるプロジェクトユニットで、デビュー曲の「ニホンノミカタ -ネバダカラキマシタ‐」は20万枚に迫るセールスを記録している。
一方、「ワンナイR&R」(同)から出現したHIRO(宮迫博之)とANIKI(山口智充)のデュオ「くず」も、2001年にリリースした「全てが僕の力になる!」が20万枚を超える売り上げ。「クイズ!ヘキサゴンⅡ」(同)の出演者、つるの剛士、上地雄輔、野久保直樹の3人で結成された「羞恥心」は、デビューシングル「羞恥心」で76万枚を超える大ヒットを収めた。
シングル1枚あたりの売上枚数がもっとも多かったのは、「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」(同)から誕生した浜田雅功と小室哲哉の「H Jungle With t」の1st.シングル「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」。213.5万枚というダブルミリオンを達成し、シングルのオリコン歴代ランキングでも堂々の17位だ。
だが、全シングルCDの総売上だと、こちらは本職の歌手だが、98年にオーディション番組「ASAYAN」(テレビ東京系)から生まれた「モーニング娘。」が1400万枚以上とダントツ。番組終了後もメンバーの入れ替えを繰り返しながら今もなお活動を続け、21日発売の両A面の新曲「Swing Swing Paradise/Happy birthday to Me!」はなんと72枚目のシングルとなる。
「当時はテレビが圧倒的に力を持っていた時代。人気に火がつきやすく、CDも当たり前のようにミリオンが期待できましたが今は音楽配信が主流。しかも、現在はテレビも多メディア化により影響力を失ってしまったため、こうしたユニット・グループが今後出てくるのは難しいでしょうね」(音楽情報誌編集者)
さびしい気もするが、これがテレビ業界・音楽業界の現実なのかもしれない。