他の事例も列挙しよう。まずは、山際氏に続いて実質上、更迭された法務相の葉梨康弘氏(63)。自身が11月9日に出席した、武井俊輔副外相(47)のパーティーにおける、以下の発言が猛烈な批判を呼んだのは記憶に新しい。
〈法相になり3カ月になりますが、だいたい法相というのは、朝、死刑のはんこを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういう時だけ、という地味な役職なんですが、今回はなぜか旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題に抱きつかれてしまいました。ただ抱きつかれたというよりは、一生懸命その問題解決に取り組まないといけないということで、私の顔もいくらかテレビに出るようになったということでございます〉
死刑を軽視したばかりか、深刻な統一教会問題まで愚弄したようなものであった。しかも、法務省と外務省は似たようなところがあるとした上で、こんな発言までしていたのだ。
〈外務省と法務省、票とお金に縁がない。副外相になっても全然お金が儲からない。法相になってもお金は集まらない、なかなか票も入らない。となってまいりますと、しっかりといい仕事を武井さんにしてもらうためには、今日お集まりの方々が、物心両面で支えていただかないと、私も支えていただきたいというのが本音です〉
この放言に対し、千葉景子元法相(74)は「一発アウトの発言だ」としたが、当初、岸田総理は留任との判断を下し、なかなか更迭しようとしなかった。政府関係者によると、その理由も、やはり東大だというのである。葉梨氏は大蔵省OBでこそないものの、東大卒だ。
また、その後任の齋藤健氏(63)もやはり東大だと指摘しながら、しかも、輝かしいばかりの経歴に目がくらんだといぶかるのである。実際、齋藤氏は東京教育大学附属駒場高等学校(現筑波大学附属駒場高等学校)を経て東大に入学。卒業後には通商産業省(現経済産業省)に入省した上、ハーバード大学ケネディ・スクールに留学し、修士号を取得している人物だ。
「この経歴が物を言った。齋藤は今年8月、秘書が統一教会の関連団体の会合に出ていたことや、選挙に際してビラ配りや集会の開催などで教会の関係者から支援を受けていたことを自身のホームページで明かしているが、そこには目をつぶった上での抜擢だった」
同関係者は、そう断じてウンザリした様子なのである。
(ジャーナリスト:時任兼作)