「Meta社」の株価暴落が象徴する「GAFAひとり勝ち時代」の終焉

 グーグル、アップル、旧フェイスブック(現メタ)、アマゾンの4つのテック企業を指すGAFA。言葉の由来は、18年にアメリカの起業家で作家のスコット・ギャロウェイによる著作の『The four GAFA 四騎士が創り変えた世界』が発売されたことによる。だが原題には「GAFA」の文字はなく、実は本国アメリカではGAFAという呼称はなく、一般的にGAFAのような企業はビッグ・テックと呼ばれる。だが名称のみならずGAFAが支配的だった時代は変わり、中身的にもGAFAという呼び方は適切ではなくなりそうだ。

「直近のGAFAの業績を見ると、アメリカ経済で心配されるインフレからリセッション(景気後退)の流れを先取りしたように暗雲が漂っています。アマゾンは新規の採用を数カ月凍結するとしていましたが、とうとう技術系の1万人を削減する方針と伝えられました」(経済ジャーナリスト)

 大きいのが広告収入の減少だ。GAFAが得意としていたビッグデータの収集という戦略も、個人データ収集への規制が厳しくなっている。GAFAに追い風だった環境も一回りして落ち着いたということもあるだろう。そしてインフレにおいては、生活に必要なものに多くの出費が割かれるため、他の消費をすすめる広告は無用になりがちだ。

 だから電脳空間を市場とするGAFAは苦戦を強いられるわけだが、中でも凋落が目立つのが旧フェイスブックのメタプラットフォームズだ。

「アマゾンの1万人解雇も数の多さにビックリしますが、パートとフルタイムで160万人以上いるアマゾンにとっては約3%に過ぎません。一方、1万1000人の削減予定のメタは何と13%にも及びます。株価はこの1年で7割も下げていて、それも何かしらの出来事があっての上げ下げというのではなく、ただただジリジリと下げているのですから深刻です」(同)

 メタは若者をSNS依存に導く施策が社内で採られていることを内部告発で暴露され、理由はそれだけではないが、それを含め名誉挽回を期してメタバース企業としてメタに社名変更したものの、その効果が株価に見られないのだから、単に人々の期待がないということになる。

 結果、アメリカの企業を時価総額で上から順に並べると、アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、そしてテスラが続いている状況で、GAFAにマイクロソフトを加えたGAFAMという呼び名はまだ実質を備えている中、1人メタだけは20位以下に転落している。だからGAFAMはフェイスブックのFとテスラのTを入れ替えて、「GATAM」と呼ぶのが現在の状況的には相応しいのだ。

「かつてSNSで力を誇ったフェイスブックとツイッターが岐路に立たされている状況ですね。検索数の多さで見れば、フェイスブックは株価同様とにかく下落、インスタグラムは健闘して現状維持だが、TikTokに追いつかれ並ばれています。アップルやグーグルの持ち株会社であるアルファベットといった企業は、携帯端末という入口を持ったれっきとしたプラットフォーマーですが、フェイスブックやツイッターはSNS企業に過ぎず、だから広告が落ちると一気に会社の業績も傾きます。メタの社名にプラットフォームズとあるのはメタバース企業としてプラットフォーマーの仲間入りをしたいザッカーバーグの強い意志の表れでしょう」(同)

 GAFA企業はコロナ禍にあって負い風だったが、それも落ち着いて今や逆風。少なくとも我が世の春は終わりそうな局面にあるのだが、メタの凋落はその大きな曲がり角ぶりを体現、象徴しているかに見える。

(猫間滋)

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