全米が注目した、模範的な女性看守と懲役75年の凶悪犯との“逃避行”が、衝撃の結末を迎えたのは9日のこと。男はケイシー・ホワイト受刑者(38)。そして、女は男が収監されていたアラバマ州の刑務所で看守を務めるビッキー・ホワイト元刑務官(56)。
CNNなどの報道によれば先月29日、看守のビッキー容疑者がケイシー受刑者に精神鑑定を受けさせると嘘を付いて刑務所から連れ出し、2人で逃走。5月2日、受刑者逃走幇助の疑いでビッキー容疑者に逮捕状が出され、発見につながる情報に最大で1万ドルの懸賞金がかけられた。結果、8日には2人の居場所に繋がる情報がもたらされ警官隊が追跡。カーチェイスの末、警察車両をぶつけ2人の乗る車を停車させた。すると、両手を挙げて車から出てきたケイシー受刑者は「“妻”を助けてくれ。彼女は自分で頭を撃ったんだ。私はやっていない」と叫び助けを求めたが、その後病院でビッキー容疑者の死亡が確認されたという。
「当局によれば、2人は結婚していないものの2年にわたって『特別な関係』にあり、頻繁に電話で連絡を取り合っていたとのこと。ケイシーは強盗やカージャック、虐待など複数の罪で収監され、さらに50代女性の殺害事件についても罪にも問われている凶悪犯。一方、ビッキーは『模範的な職員』で定年間近だったようですが、逃亡資金を工面するため2週間前に自宅を売却。相場2700万円のところ半値以下の1200万円で売り払い、事件を起こす1週間前には仕事先に退職手続きの書類も提出しています。さらに、車からは半自動型の9ミリ拳銃AR15が4丁見つかっていることから、警察との銃撃戦も覚悟していたと思われる。いったいどんな理由あれば、仕事一筋だった模範的な看守をそこまで奮い立たせたのか。まさに映画を地で行くようなこの事件に、全米の関心はいまだ冷めやらないようです」(通信社記者)
米メディアのなかには、ビッキー容疑者を「典型的なハイブリストフィリア(犯罪性愛)」とし、ケイシー受刑者が「その心に火をつけた」とする報道も少なくない。
「ハイブリストフィリアというのは、犯罪者に惹かれてしまう一種の性的倒錯のことで、『ボニーとクライド症候群』とも呼ばれています。特徴としては犯罪者を愛情の対象として捉え、手紙を書いたり、求婚したり、裁判を欠かさずに傍聴するなど。エスカレートすると犯罪者を崇拝してしまう場合もあります。実際、シリアルキラーとして全米を震撼させたテッド・バンディは、収監中に女性から数百のラブレターを受け取ったとされ、裁判の法廷にも毎回数十人の女性が傍聴していたことは有名な話。また、同じく殺人鬼のジェフリー・ダーマーも、刑務所内で多くの女性達から金品や贈り物を受け取っていたといわれます。仮にビッキー容疑者がそうだとすれば、ケイシー容疑者によって眠っていた何かに火がつけられ、崇拝者となってしまった可能性もある。とはいえ、男のほうはただ逃走を手引きしてほしかっただけという報道もありますから、それが事実なら悲劇としか言いようがありません」(同)
逮捕された懲役75年のケイシー受刑者はアラバマ州の刑務所へ送り返され、今後逃亡罪にも問われることとなる。
(灯倫太郎)