中日・根尾昂「二刀流デビュー」に隠された真の目的とは…

 中日・根尾昂が二刀流デビューを果たした。

 阪神2軍戦の9回裏(5月8日)、片岡篤史二軍監督が投手交代を告げる前に、マウンド付近に内野手が集まってきた。その一連の動きのなかで、根尾がマウンドの土を慣らし、投球練習を始めた。
 
 この流れを見れば、この日、「投手・根尾」がデビューすることは予定事項だったと思われる。

「4月2日の広島戦でした。延長に突入し、救援投手がいなくなることを恐れた立浪和義監督が万が一に備え、根尾に投球練習をさせたのです。そのときのブルペンからの報告が良かったので、テスト登板の話が出始めました」(球界関係者)

「投手・根尾」は3連打を浴び1点を失ったが、最速150キロをマークするなど、堂々としたマウンド捌きを見せた。片岡二軍監督は「投げて打ってが彼のリズム。お客さんに喜んでもらうとかではなく、これからも」と戦力として、投手起用していく旨を明かしていた。

「ゲームセットまで投げさせなかったのは、投球数が20球を超えたからです」(同前)

 根尾のピッチングは、よくも悪くも“オトナ”だった。スライダーや曲がり幅の小さいカーブ系の変化球も投げていた。しかし、ウイニングショットに使っていたのは「クイックモーション」。投げるリズムを変えて、バッターのタイミングを外していたのだ。

「今後、二刀流を続けるのかは分かりません。ただ、根尾は投手も務めながら調子を高めていくタイプだと、中日首脳陣は判断したようです」(地元紙記者)

 大谷翔平の二刀流とは目的が違うようだ。

 根尾はショートに再コンバートされ、二軍戦では全て「スタメン遊撃手」として起用されている。打撃不振で京田陽太が二軍落ちした6日も、「二塁・京田、遊撃・根尾」だった。
 
 期待されているのは間違いないが、肝心の打撃が安定していない。3安打を放つ日もあれば、ノーヒットに終わる日も。根尾の二刀流の真の目的は、打撃力のアップ。そう考えると、当分の間、調整の一環で救援マウンドに上がり続けるようだ。

(スポーツライター・飯山満)

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