日産シルビア、マツダRX-7、ホンダCR-X、トヨタMR2……。これらはいずれも80年代〜90年代に生産された人気車だが、昨今、これらの国産中古車が大人気で市場価格が高騰、車種によっては1000万円超えの車が、爆売れするほどの人気ぶりだという。
モータージャーナリストが語る。
「かつての中古車市場では、60〜70年代の国産クラシックカーに対し、80〜90年代に誕生・生産された国産車は排ガス問題もあり、今の時代にそぐわないとして、高くてもせいぜい100万円以下、安ければ数万円でも買い手がつかないという時代がありました。ところが海外市場における日本製中古車の人気で、いつの頃からか『ネオクラシック』と呼ばれるようになり、希少価値が増し価格が高騰。数年前までは数十万円で売買されていた『シルビア』が200万〜300万円、100万円以内で購入できた『R32スカイラインGT-R』に至っては、なんと500万〜1,000万円の値がついています。そのほか、フェアレディZやシビック、RX-7、MR2なども高値取引されていますからね、本当に驚くばかりです」
これらの車種の希少価値を高めている要因の一つが、2000年(平成12年)の排ガス規制といわれるが、
「規制により生産中止となった車種も多く、当時人気だったスポーツモデルも、ほぼすべが絶版となりました。また、80年〜90年代に発売された車種は走り倒した車が多いため、程度のいい車を見つけるほうが難しい。それによって、希少価値が高くなったと考えられます」(同)
さらに、当時はデザイン性を追い求める一方、衝突安全性能は今ほど厳格ではなかったが、安全基準が見直されるたびに、メーカーがボディの強度対策などを繰り返し、その結果、全体のフォルムが大きく変貌していく。
「そうなると、どうしてもデザインが野暮ったくなる。必然的に実用性の低いスポーツタイプの車は敬遠され、やがてRV車やミニバンがとってかわる時代がやってきたことで、それらの車はどんどん生産終了となっていくのです」(同)
この希少価値とともに、価格高騰に拍車をかけたのが北米での「右ハンドルの日本車」ブームだ。アメリカでは州にもよるが、右ハンドル車やシートベルトの無い車の登録や公道での走行は原則的に禁止。ところが製造から25年以上経過していれば、これが可能となる。この“優遇措置”により、品質の高い日本の中古車人気が一気に高まった。その流れが逆輸入され、国内での「ネオクラシック」人気に繋がっているようだ。
日本でも掘り出し物の人気中古車を一部レストア販売する、転売ヤーが増えているようだが、海外ではかつて、納屋に放置したままのフェラーリに数千万円の値がつき、話題になったこともある。心当たりがある方は、是非中古車サイトを覗いてみてはいかがだろうか。
(灯倫太郎)