「休業要請には従いません」ナイトクラブ経営者が反発する理由とは?

 コロナウイルスの感染が急速に再拡大している中、沖縄県や広島県などに続いて、首都圏を含む1都10県に再びまん延防止等重点措置が発令される見込みであることが明らかになった。しかし、次に出されるまん延防止等重点措置や緊急事態宣言にはこれまでのような効果は期待できないかもしれない。

「次に休業要請があっても応じません」

 ある地方都市の繁華街でナイトクラブを経営する女性は次の休業要請に従う気はないとしてこう続ける。

「休業状態の間に多くの女の子が店を辞めていきました。不安定な業界に見切りをつけてオフィス仕事へと移る子も多く、いま夜の街では20代半ば以降の人材不足が深刻になっています。営業再開後もキャストを集めるのに大変な苦労をしました。宣言解除後すぐに補償金は打ち切られますが、再開後しばらくはキャストが揃わずまともに営業はできません。ここでまた休業となると苦労がまた水の泡になりますし、さらなる人材流出を招きかねません」

 コロナへの恐怖と不安定な状況に、働き手となる女の子が夜の街からどんどん離れている。さらに営業を強行するもう一つ理由が、宣言中でも客足がそれほど遠のかなかったことだ。

「前回の休業要請中も、お客さんの年齢層の低い艶系クラブの多くは営業を行っていました。緊急事態宣言中の営業でもお客さんの数自体はそれほど減っていないようでした。ウチの客層は会社役員や年配のサラリーマンが多いこともあり、コロナに大きく客足が左右されるため休業していました。しかし、コロナ禍で営業を続けていくうちに客層も入れ替わりコロナを理由に来店を避けるお客さんというのは少なくなっていると感じるので、今は宣言中でも安定して営業ができると思います」

 緊急事態宣言に伴う休業要請に従わない場合は、罰則の過料が科される場合もあるが、付近の店で罰則の例は聞いたことはないと言う。ワクチン普及後も繰り返される休業要請に、「これから一生同じことが繰り返されるのか」といった声も聞こえる。終わりの見えないコロナとの戦いに飲食店はもう協力する体力も気力も失ってしまったようだ。

(浜野ふみ)

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