昨年は冬場の新型コロナの感染拡大により大晦日〜元日朝にかけての終夜運転を取りやめた鉄道各社。今年は一部私鉄を除き、2年ぶりに再開される。
そのほとんどは初詣客などの輸送目的だが、なかにはこの日のためだけに「年越し夜行列車」を企画したところもある。
例えば、茨城県の関東鉄道は「正月特別夜行列車(開運号)」を運行。守谷駅を22時40分に出発し、常総線(取手〜下館)の区間を走行した後、朝5時に再び戻る行程だ。
車両は定期運行に使われていないキハ0系、キハ310系の旧型ディーゼルカーを使用する予定。座席はロングシートだが3両編成で定員は36名と少なく、独自に「C寝台・D寝台」と名付けで発売(※販売終了)。乗客が横になれるように配慮されている。さらに夜食として年越しそばも振る舞われるという。
また、新潟県のえちごトキめき鉄道でも「年越し夜行急行」を運行する(※販売終了)。直江津駅発着で妙高はねうまライン(直江津〜妙高高原)、日本海ひすいライン(直江津〜市振)の2路線全区間を走行する。
こちらもJRが国鉄時代から走らせていた455系・413系という車両による編成。乗客にはおせち仕様の特製弁当のほか、温泉の入浴チケットなどがプレゼントされる。
「両社とも過去にイベントで夜行列車を運行した実績があり、しかも今回はあえて古い車両を使う心憎い演出を見せています。いずれも元日に使える乗り放題きっぷもセットになっており、沿線で初詣や観光をついでに楽しむのにも便利です」(鉄道ライター)
経験者ならわかるはずだが夜行列車の旅には高揚感があり、中高年にとっては懐かしく、若い世代にとっては逆に新鮮に感じる。
「夜行列車は比較的企画しやすく、利用客も十分見込めます。来年は他の鉄道会社でも似たような年越し夜行列車を走らせる可能性は高いでしょうね」(同)
たまには列車の中で新年を迎えるのも面白そうだ。
(高島昌俊)