英名門ホテルで有名シェフ退任騒動…日本でも噴出する「ヴィーガン」への疑問

 多様性を受け入れることを求められる時代だが、今、肉や魚、卵など動物性食品を一切とらない「ヴィーガン」メニューが各地で物議を醸している。

 英ロンドンにある有名高級ホテル「クラリッジス」は、ホテル内のレストランを手掛ける著名シェフのダニエル・ハム氏が完全に植物由来のヴィーガン仕様にメニューを変更しようとしたことから契約を解除したことを明らかにし、これが世界的なトピックになっている。

 ハム氏はミシュランの3つ星やニューヨークタイムズの4つ星といった最高評価を獲得するマンハッタンの超有名レストラン「イレブン・マディソン・パーク」でもシェフを務めるカリスマシェフで、同レストランでも今年6月からヴィーガンメニューに切り替えていた。同氏は「世界は変化しており、我々も変化しなければなりません。私は植物由来に将来を託し、それが使命だと思っている」と訴えたものの、ホテル「クラリッジス」には受け入れられず、NOを突きつけられてしまった格好だ。

 時を同じくして、日本でも東京都内のある小学校が2カ月に1回の定期的なペースで「ヴィーガン給食」の提供を始めたというニュースに実業家の堀江貴文氏が懸念を示し、論争を巻き起こしている。ヴィーガンメニューは畜産業に伴う温室効果ガス排出を削減できる持続可能な開発目標(SDGs)の視点からも注目され多様な価値観を学ぶ狙いがあるというが、堀江氏は「舐めてると奴らはどんどん肉食に関与してきますよ」とヴィーガンによる反肉食運動が強まることを警戒した。

「これにネット上では、《ヴィーガンやりたきゃ勝手にやればいいが、学校が子供に押し付けることではない》といった賛同の声も多く見られます。ヴィーガンの中には完全菜食主義を他人にも強制する過激派もいて、フランスではヴィーガンが精肉店や肉料理のレストランなどを相次ぎ襲撃する事件まで起きているのです。菜食も確かに多様性の一つではありますが、多様な価値観を学ばせるのであれば、なぜ肉食メニューは採用しないのか、菜食の押し付けになっていないかと思ってしまいますよね。イギリスのホテルもそうですが、ヴィーガンメニューだけとなってしまうのはヴィーガン以外の多くの人を排除してしまうことにもなりかねません」(フードジャーナリスト)

 多様性を認めさせることではなく、選択する自由を与えるべきだろう。

(小林洋三)

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