日ハム・新庄剛志監督ビッグボス流“珍”指令【中編】「短距離ピッチング」の効果

 就任会見では「監督兼任選手で契約した」とジョークを飛ばしながら、「自ら背番号1」をつけることを宣言。ビッグボス流が繰り出すチーム浮揚術とは、

「自らが先頭に立ち注目を浴び、観客を集めることで選手を育成する狙いがある。会見では『投手3人、野手4人のタレントを作りたい』と投打の軸を作る構想を明かしましたが、これに成功すれば、優勝はともかく3年間遠ざかっているAクラス返り咲きも夢ではない」(スポーツ紙デスク)

 目下のところ、日本ハムにとっては、若手育成こそが喫緊の課題なのだ。

「清宮以外で新庄監督が大化けを期待している若手は、俊足の五十幡亮汰(22)、万波中正(21)あたりでは。投手では3年目の吉田輝星(20)になるのではないか」(槙原氏)

 視察2日目にビッグボスはブルペンを視察。キャッチャーをホームベースより1メートル手前に座らせると、8割程度の力で投げるショートピッチングを指令した。

 阪神時代のチームメイトで、現在は東京・新橋で居酒屋「TIGER STADIUM」を営む川尻哲郎氏は、初指導をこう評価する。

「店でも新庄新監督の話題で盛り上がってますよ。ピッチングでは彼も元祖二刀流。阪神時代に経験がありますから、短い距離で投げることでボールを叩きつけるとか、角度をつけるという意識があるのでしょう。理にかなっている練習法だと思います」

 最終3日目には、ブルペンで投げ込む吉田を視察すると、

「めっちゃ速くね! オレ現役の時でも打てないと思う。速っ!」

 と、ベタ褒めするのだった。

「すべて、いろいろ計算した上で発言しているんだと思います。アメとムチではないが、褒めるところは褒めて乗っけていく。吉田選手は褒めて伸びるタイプだと思ったんでしょう。清宮選手については今のままでは結果が出ておらず、2軍なわけです。何か変えなければいけないという思いで発言しているんだと思います」(川尻氏)

 ビッグボス流トレーニング法は枚挙に暇がなく、

「外野は内野の、捕手は外野の気持ちをわからせる」

 と、守備位置を入れ替えてシートノックを実施。

「長く持ったバットで芯に当てるより、短く持ったバットでコンパクトに速球の力を利用してコンって打つ」

 と、かつてサンフランシスコ・ジャイアンツ時代の同僚バリー・ボンズ仕込みの打撃法などを惜しみなく開陳したのだ。

「こうした練習法で刺激を受け、くすぶってる選手が復活する可能性はあるんじゃないか」(江本氏)

 かつて会見で連呼した迷言ではないが、決して〝意味ナシオちゃん〟ではなかったのだ。

*「週刊アサヒ芸能」11月25日号より【後編】へつづく

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