日本時間8月23日のインディアンス戦後、エンゼルスのジョー・マドン監督が米TV放送局ESPNのインタビューに応じ、大谷翔平選手の活躍についてコメントした。
「一世代に一人の才能ではなく、何世代かに一人の才能だ。ベーブ・ルースから100年が経ち、再び翔平のような選手を見られるとしたら、今からまた100年後かもしれない」
同日は1番・指名打者で出場し、2打数1安打、今季19個目となる盗塁も決めている。二刀流で活躍する希少性を改めて訴えたわけだが、ここ最近の指揮官のコメントはちょっと大袈裟だ。
しかし、その大袈裟な称賛にはワケがあった。
「大谷はア・リーグMVPの有力候補として報じられることも多くなりました。そこに加えて、サイ・ヤング賞の候補者としても名前が伝えられるようになったんです。マドン監督は記者投票で決まる両タイトルを、なんとかして獲得させてやりたい、と」(米国人ライター)
そんなふうにマドン監督の胸中を推し量る声が多く聞かれた。「打者・大谷」がMVPを、「投手・大谷」がサイ・ヤング賞を同時獲得して頂点を極めれば、まさに“リアル二刀流”。マドン監督が大谷称賛を連発する理由は、ここにきて「MVPの有力候補であることは間違いないが、サイ・ヤング賞はビミョ~」との声が出始めたからでもあるそうだ。
「サイ・ヤング賞はインパクトの強さというか、シーズンを通してコンスタントにどれだけ活躍したかが投票の基準になっています。近年はとくにその傾向が強くなりました」(同前)
日本では「サイ・ヤング賞の日本版が沢村賞」みたいな伝わり方もされているせいか、先発完投タイプのピッチャー、イニング数や完投試合数が“加点ポイント”になると思われている。しかし、サイ・ヤング賞はクローザーが選ばれることもある。だから、いかにチームの勝利に貢献したかのインパクトが大切なのだが、「投手・大谷」は先発起用されているものの、その登板間隔がバラバラで、マドン監督と本人が話し合って決めている。
ホームランを放った翌日に100マイルの剛速球を投げ込む姿はインパクトも強いが、「登板間隔がバラバラ」なのは、減点対象なのかもしれない。
「マドン監督は、なんとかして大谷にタイトルを獲らせてやりたいと思っているようです。ホームラン王が投手タイトルのサイ・ヤング賞にも選ばれたら、それこそ歴史的な快挙ですから」(同前)
そうなったら、本当に「何世代かに一人の才能」だ。マドン監督の称賛コメントは終盤戦が近づくにつれ、さらに“誇張”されていくだろう。
(スポーツライター・飯山満)