「高校で数学を捨てた人」が社会で苦労する理由が証明された!

 突然だが、次の二次方程式を解いてみてほしい。

 x²+2x−4=0

 上記の問題が解けないという人はまずいかもしれない。これは高校1年で習う問題。心理学者によれば、高校1年で数学を諦めた人は重要な脳内物質が減少するそうだ。

「オックスフォード大学の実験心理学部門の最新研究によれば、16歳で数学を捨てた学生は、脳内(中前頭回)のGABA(γアミノ酪酸)という物質の濃度が著しく減少することがわかりました。この脳内物質が減少すると、推論、問題解決、記憶など多くの重要な認知機能に問題が出ることが判明。これらの脳の機能はビジネスシーンでは欠かすことのできないものです。この研究結果の興味深い点は、物理や化学、生物といった他の理系科目ではGABA濃度の変化はみられず、数学のみ減少するという結果だったことです。数学を学習したかどうかによって、その後の人生に大きく影響を及ぼしてしまいます」

 このニュースを受けてネット上では「周りの人と比べて自分の頭が悪いのはこれが原因だったのか」「うちの会社にも話が通じない〝THE・文系人間〟の上司がいる」「日本の数学教育は公式のまる暗記なので、この研究結果は当てはまらないのでは」など様々な意見が出ている。

 では、高校時代に数学を諦めた人は、ロジカルな思考法を鍛えることはできないのだろうか。「大人の数学教室」で教鞭を執る講師は、大人になってからでも数学に強くなることは可能だという。

「多くの人が誤解しがちですが、数学の得意不得意は素質よりも〝思考の癖〟という側面が強い。そのため、学生時代に数学で苦労したという人の中には、公式などの暗記が不得意なだけだったり、先入観から苦手意識を持っていただけだったというケースも。大人になって改めて数学をロジカルに理解してみたら、実は簡単で得意になったという人もいます。また、普段の生活の中で数学脳を鍛えることもできます。たとえば、会社の売上を『多い/少ない、増えた/減った』と抽象的に理解するのではなく、『昨年と比べて利益が3000万円増えたので、比率でいうと120%アップした』というように、具体的かつ客観的に数字を意識するようにする。あるいは、放物線のグラフを見たときに、『このグラフはこういう関数を使って作ったんだな』と論理的に考えるようにする。こうした日々の鍛錬によって、ロジカルな思考法は自然と身についていきます」

 さて、冒頭の二次方程式の解答だが、残念がら筆者は合っている自信がないため、読者が自力で解いてみてほしい。

(橋爪けいすけ)

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