エンゼルス・大谷翔平がパドレスとのオープン戦に「1番・投手」で出場し(3月21日/現地時間)、投打に渡って活躍した。
日本のファンは「シーズン中にも“リアル二刀流”が実現しそう」と期待し、ジョー・マドン監督も「登板前日、当日、そして翌日。3日間も彼の打席をシャットダウンするとしたら、もったいないだろう。だから、いま実験しておくんだ」とコメント。「二刀流」は指名打者ではなく、ピッチャーでクリーンアップを任される“進化系”となりそうだが、米国のファンは2年前の「快挙再現」も重ねて見ていた。
「実は、2019年9月4日のレッズ対フィリーズ戦で、1921年、ヤンキースのベーブ・ルース以来となる快挙が達成されているんです。大谷よりも先に。だから、大谷にはもっとスケールアップした記録更新を期待しています」(在米ライター)
「19年の記録」とは、レッズのマイケル・ローレンゼンが同試合内で本塁打を放ち、かつ勝利投手となったというもの。メジャーリーグで「投手兼野手」の二刀流が受け入れられたのは大谷がきっかけだが、ローレンゼンは指名打者制(以下=DH)のないナ・リーグのレッズ選手。大谷はDH制のア・リーグに所属するため、「同一試合での勝利投手&本塁打」には縁がないものだと思われてきた。
しかし、先のマドン監督のコメントからすると、今季は大谷が先発する試合はDH制を取らず、9人制で臨む可能性もある。
「ローレンゼンの記録は、7回途中からリリーフ登板し、そのまま打席に立って達成されたもの。大谷なら『先発登板して本塁打も』と期待できます」(同前)
ローレンゼンは外野守備もこなす“三刀流”。しかし、大谷のようなクリーンアップタイプではなく、今季は先発ローテーション入りする予定だが、リリーバーとして登板してきた。
「マイナーリーグに何人かいるんですよ、学生時代に投打ともに好成績を残した若手が。大谷が出現するまでは、投手か野手のどちらに絞ってメジャー昇格を目指していましたが、最近では『二刀流でテストしてみよう』という空気に変わりました」(同前)
162試合の長丁場を戦ううえで、ピッチャーは何人いても困ることはない。本職投手を無駄に消耗させないための二刀流と解釈できる。ちなみに、そのローレンゼンは3月15日のオープン戦で「打者・大谷」と対決しており、2本の本塁打を献上している。「どの選手が好きかって聞かれたら、オータニなんだよ」と試合後に笑っていたそうだ。
先発投手として打席に立ち、「同一試合での勝利投手&本塁打」をシーズン中に複数回達成すれば、歴史的な快挙となる。今季は、進化する二刀流にも注目が集まりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)