スシローグローバルホールディングス(スシローGHD)は、吉野家ホールディングスの子会社である持ち帰り寿司の「京樽」を4月1日付けで買収し、完全子会社化すると2月26日に発表した。買収額は非公表だが、コロナ禍でも絶好調だった「スシロー」が回転寿司業界2位の「くら寿司」を突き放しにかかる。
「スシローは持ち帰り寿司専門店の『スシローTo Go』を全国に拡大させることを明らかにしていることから、京樽の買収はテイクアウトのノウハウや好立地の店舗を手に入れるのが主な目的でしょう。ただ、京樽は回転寿司チェーン『海鮮三崎港』や『すし三崎丸』なども関東中心に展開しているため、関西を拠点に全国展開を進めてきたスシローにとっては非常に魅力的だったのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)
なお、京樽の21年度第3四半期(20年3月1日〜11月30日)の売上高は約136億円で、前年同期比35.1%の減収となっている。吉野家HDは全体で同20.6%の減収となっているが、グループ内では京樽のマイナスが最も多いため、スシローGHDに京樽を譲渡するのはお互いにとってウィンウィンだったと見られる。
「回転寿司業界1位のスシローは、20年9月期(19年10月1日〜20年9月30日)の売上高が2049億5700万円となり過去最高を記録しましたが、一方で業界2位のくら寿司は20年10月期(19年11月1日〜20年10月31日)の売上高で1358億3500万円だったものの、最終損益は2億6200万円の赤字となり、上場以来初の赤字に転落してしまったのです。両者の明暗を分けたのはテイクアウト戦略だと見られており、スシローは京樽の買収によってさらにテイクアウトが強化されるのは間違いないことから、今後は業界のトップを独走する可能性も高いのではないでしょうか」(前出・経済ジャーナリスト)
まさに鬼に金棒とも言うべき今回の買収報道。盤石な体制が整ったスシローに敵はなしか?
(小林洋三)