1月19日、三井不動産による「株式会社東京ドーム」のTOB(株式公開買付)が無事、終了した。これにより東京ドームは今後、三井不動産の子会社になるとともに非上場となり、さらに読売新聞グループ本社に20%を譲渡する形で協力して球場の運営をしていくことになる。
「この2社がタッグを組んだことは大きいと思います。というのも、ドームは1988年完成でもともと老朽化が懸念されていました。東京ドームは2020年に23年を目標として100億円をかけてドームを大規模改修するとしていましたが、都市開発のノウハウを持つ三井不動産が親会社になることでこの際、『改修』程度ではなく一気に『建て替え』をして、東京ドームシティをひっくるめて再開発すると見られています」(経済ジャーナリスト)
東京ドームシティは1006もの客室を持つ東京ドームホテルもあれば、温泉スパのLaQua、遊園地のアトラクションも揃った一大レジャー施設。日本ボクシングの殿堂である後楽園ホールもある。コロナ以前は年間4000万人近い来場者があった。これをさらに活かさない手はないというわけだ。
「これをついでに、施設内はスマホで飲食の注文ができるIT化や5Gの通信インフラを活かした施設開発、野球観戦システムの整備など、新しい時代に合ったアミューズメント施設への衣替えが行われるでしょう。もちろんそこは新たな親会社の資金力と与信力あってのもの。ただ問題としては、ドームシティは『都市計画公園』の指定があること。公園なので増改築であらゆる規制がかかりますが、そこは開発上手の三井不動産がなんとかやってくれるでしょう」(前出・ジャーナリスト)
TOB以前には東京ドームと読売新聞との間に直接の資本関係がなかったので、球団と球場の垣根が取り払われたのも大きいだろう。巨人とドームは一体となって発展すべしとの目標も生まれることになる。
日本シリーズではソフトバンクに大惨敗した巨人。ソフトバンクは昨夏から既に「BOSS E・ZO FUKUOKA」をスタートさせて球場周辺を含めたボールパーク化を果たしている。遅ればせながら巨人もこれに追いつくことで、野球の方でもソフトバンクに追いつくか?
(猫間滋)