東京ドーム94個分!能登半島地震で出現した陸地の「所有者」と「使い道」

 能登半島地震は地面のひび割れや土砂崩れなど、様々な被害をもたらしたが、被災地沿岸部の海底が最大で4メートル隆起するなど海岸線も大きく変化した。この影響で新たに陸地となった土地は、東京ドーム約94個分にものぼり、これは東京・港区と品川区の面積にほぼ匹敵する。

 ちなみに石川県の面積はもともと4186.20平方キロメートルだったのに対し、福井県は4190.54平方キロメートル。だが、今回の大規模な海底隆起により面積では石川県が福井県を抜いてしまった可能性が高いという。

 では、「新たに陸地となった土地」の所有権はどうなるのか。不動産登記法第36条では《新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない》と定められている。では、今回のケースではどうなるのか。不動産業界誌記者が解説する。

「民法 239条1項に『無主物先占』と言って、持ち主がいない動産は占有を示すことで所有権が認められるとありますが、同第2項では無主物が不動産の場合には、無主物先占は認められず国庫に帰属するとしています。今回のように、もともとは海底でも陸地となった以上は土地なので不動産にあたり、国有地になると思われます」

 つまり、新たな国土となるわけだが、民間が活用できないわけでもないという。

「国有地の中には民間に払い下げとなる土地も少なくありません。現在は復興が最優先ですし、地質調査や測量もしていないでしょうからまだ先のことだと思われますが、将来的に一部が払い下げられる可能性はあります。沿岸部は津波のリスクはあるものの、漁港や市街地に近い場所は一定の需要があるでしょう」(前出・記者)

  とはいえ、海岸線の土地の隆起によって漁港を奪われてしまった漁師もいる。新たな陸地の活用は、何より復興を第一に考えて行うべきだろう。

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