交渉期限となる1月8日午前7時(日本時間)が迫っている。
菅野智之投手(31)が米国入りした1月3日、MLB公式ページは、その交渉相手はブルージェイズ、SFジャイアンツ、メッツの3球団に絞られたと報じた。しかし、サンディエゴ・パドレスも諦めていない。形成逆転を狙って、「切り札」を投入するという。
「ダルビッシュ有(34)を獲得し、チームの投手力は確実にアップされました。18年サイ・ヤング賞左腕のブレーク・スネル(28)もトレード補強しており、最強の左右2枚看板が形成されました。菅野智之を獲れば、さらに強固な先発陣になります」(特派記者)
パドレスのエース格であるマイク・クレビンジャーは、昨年11月にトミー・ジョン手術を受けた。先発投手の強化に熱心なのは、そのクレビンジャーが「21年シーズンは全休」となるせいもあるが、同じナ・リーグ西部地区のドジャースは、2020年シーズンに同地区V8を達成。ライバルの独走を止めるには、強力な投手陣を編成しなければならないと判断したからだ。
「菅野の交渉において、パドレスの劣勢は変わりません。でも、地元ファンはまだ可能性があると見ています」(米国人ライター)
アメリカの複数のメディアはかねてから《パドレスには日本球界との太いパイプを持つ野茂英雄アドバイザーがいる》とその優位性を指摘していた。
野茂氏は16年2月からパドレスのアドバイザーを務めている。ファンサービスや日本球界との交流などでアドバイスを求められた場合、それに応じているそうだ。地元紙の「ジ・アスレチック」を始め、「サンディエゴ・ユニオントリビューン」(電子版)、「MLBトレードルーモアズ」も、菅野との交渉にプラス材料になると伝えていた。
過去、パドレスに在籍した日本人選手は、千葉ロッテの井口資仁監督、大塚晶文氏、牧田和久投手(現楽天)。大塚氏はパドレス3Aコーチを経験し、今も北米担当のスカウト業務に携わっている。現地にもまだ自宅があり、菅野の東海大学の先輩でもある。日本の感覚からすると、野茂氏よりも大塚氏となるが…。
「日本人選手が同じチームになることに対して、米メディアの捉え方はさまざまです。前向きに捉えるものもあれば、マイナスとして報じるものもありました。ヤンキースが菅野に興味を示しているといった報道のなかにも、『田中の残留交渉には影響がないだろう』との予想を加えていました」(米国人ライター)
ブルージェイズに決まれば、山口俊と再びチームメイトになる。パドレスが巻き返したとすれば、大塚氏という相談相手がいて、ダルビッシュにも助言を仰げる。いずれ、野茂氏と話をする機会もできるだろう。日米球界のレジェンドや意外なビッグネームが飛び出したのも、菅野の米球界との交渉が遅延した影響かもしれない。
(スポーツライター・飯山満)