先ごろ、ラーメン店の倒産が2000年以降で最多になる見通しであることが、帝国データバンクの調査により明らかとなった。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、豚骨ラーメンの「長浜将軍」や横浜家系ラーメンの「六角家本店」といった有名店が次々と姿を消すことになったが、ラーメン店の倒産が相次ぐのはコロナだけが原因ではないと指摘する声もある。
帝国データバンクによれば、2020年9月までに倒産したラーメン店は34件で、この時点で、過去20年で最多を記録した2019年の36件まであと2件に迫っており、このままのペースが続けば調査開始以降、“最多記録”を更新するのは確実な情勢だ。
緊急事態宣言による外出の自粛で飲食店は大きな打撃を受けたが、特にラーメン店は、「出前館」や「ウーバーイーツ」などのデリバリー需要があまり伸びず、コロナの影響をもろに食らった格好になった。しかし、今回のラーメン店のドミノ倒産は起こるべくして起きたという。
「そもそもラーメン店は非常に倒産しやすい業態で、『飲食店.com』のデータによれば、ラーメン店は1年以内に約4割が廃業し、3年以内には約7割が廃業するといいます。なぜ、ここまでラーメン店が潰れるかというと、ひとつの理由として参入のしやすさが挙げられます。一般的に飲食店では3〜5年の修行が必要とされていますが、ラーメン店の場合は数ヶ月のアルバイトで、場合によっては自宅での調理経験だけで店を出すケースもあるのです。なぜそんなことが可能かといえば、最近では麺だけでなくスープも外注のものを使用している店が増えているからです。ただ、業務用のスープを使っていては、売上は伸びませんからね」(ラーメン評論家)
ラーメン店が潰れるもう一つの理由に、値上げが出来ない点があるという。「人件費も食材費もどんどん高くなっているので、他の飲食店は値上げを敢行するところも多いですが、未だにラーメンに1000円も出したくないという意見も多く、大手チェーンの『幸楽苑』や『日高屋』ですら値上げしたことで客離れに悩まされている状態ですからね。かつてラーメン屋は原価が安く儲かると言われていた時代もありますが、今や昔の話。基礎体力のないラーメン店はやっぱりどんどん潰れますし、今回倒産が相次いだのはコロナが時期を早めただけのことだと思います」(前出・ラーメン評論家)
生半可な決意ではラーメン店を成功させることは難しいようだ。
(小林洋三)
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