4月1日に発表された新元号の「令和」を巡り、ちょっとした騒動がわき起こっている。発表当日には全国各地で新聞社による号外が配布され、我れ先にと群がる人たちが殺到。あっという間に予定枚数がなくなり、なかには切れ端をありがたそうに持ち帰る姿も見受けられたという。
その号外が今度はメルカリなどのネットオークションサイトに出品され、一時は1万円超えの高値をつけることに。数日後には数百円まで相場が下がったものの、未だに多数の号外が出品されている状況だ。そんな令和フィーバーに対して、こんな疑問が呈されているという。
「いまや定期購読が激減し、広告収入も頭打ちの新聞社にとって、無料で配る号外は大きな負担になるはず。たしかに令和フィーバーではあらゆる新聞社が号外を出すことは容易に予想できるので、一社だけ“特オチ”するわけにもいかないのでしょうが、わざわざ輪転を回して号外を刷る余裕があるのかという疑問を持つ人もいるようです」(週刊誌記者)
その状況でなぜ、号外を出すのか。その裏には、社会的な一大トピックを契機と捉えた、一般企業の思惑が見え隠れするという。
「号外を発行するコストはすべて、号外に掲載された各企業からの広告費で賄われているのです。今回の令和号外では一面にヤフーの真っ赤な広告を入れた新聞社がいくつも見受けられたほか、中面には田中貴金属工業の広告も。その田中貴金属工業では4月3日に令和をモチーフにした端午の節句用かぶとを発売し、さっそく令和バブルに乗っかっています。これらの企業にとっては新元号発表という慶事に合わせて号外に広告を出すことが大きなアピールとなる。ヤフーのほかに楽天も号外に出広することが多く、これらのIT企業は普段ネットに接していない新聞世代の層に向けて、自社をアピールする狙いがあるのでしょう。“令和号外”に広告が載っていれば新聞社の厳しい審査基準をクリアしたことが分かるので、IT企業に対して批判的な高齢者層に対して『弊社は社会性の高い企業です』と印象付けられるわけです」
そして新聞社にとっては、無料で自社メディアを宣伝できることになる。どうやら新聞の号外は新聞社とクライアント企業のウィンウィンな関係を象徴しているようだ。