4月1日に発表された新元号の「令和」を巡って、子育て世帯から心配の声があがっているという。この<令>の字を巡っては、一部のコメンテーターから「命令の令」という独善的な解釈が提起され、一部から疑問の声も上がっている。だが親たちが気にしているのはそういった“意味”の部分ではないというのだ。
「令という字には2通りの書き方があり、ひとつは明朝体やゴシック体などに見られる、下半分が〈刀〉のような形になったもの。そしてもうひとつは、教科書体や楷書体に表れるカタカナの〈マ〉のような形です。小学生はもちろん教科書体の字形を習うのですが、世間には明朝体の字形が正しいと思い込んでおり、〈マ〉は略字であるとして認めないケースがあるのです。その場合、子供たちは学校で習った字が間違っているという事態に直面し、混乱する可能性もある。とくに今後は『令和』がらみで令の字を書くケースが激増するので、子供たちが“教科書体問題”に惑わされるケースが増えるとして懸念されています」(子育て中の女性誌ライター)
小学校の国語教育では「教科書体を標準として指導を行うことを求めていく」と、16年3月10日の参議院文教科学委員会で馳浩文部科学大臣(当時)が明言している。またほとんどの人は手書きで〈マ〉と書いていることだろう。だが実際に〈マ〉の字形が拒否されるケースもあるというのだ。
「16年2月29日に文化庁が公表した『常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)』では、字形の違いから生じている問題を指摘。実例として、官公庁や金融機関での書類記入にて令の字を〈マ〉で書くと、明朝体の字形に書き直すように指示されるケースを例示しています。つまり学校では〈マ〉と教えているのに、それを官公庁が否定するという二重基準状態にあるのです。しかもスマホでは基本的に教科書体を表示しないので、スマホ検索で字形を確認すると〈マ〉は間違いという誤った認識が広まりかねません。そのため政府には全国に対して『令の字では〈マ〉も正しい表記』と周知徹底してもらいたいですね」
子供たちが「学校のほうが間違えている!」と誤解してしまわないよう、親としても正しい知識を身につけておきたいものだ。