新型コロナウイルスの感染拡大により、病院でのロケがほぼ不可能になっているテレビ業界。4月期や7月期に医療ドラマを放送するのは無理だと言われていたなか、フジテレビでは7月から2クール連続でドラマ「監察医 朝顔2」を月9ドラマの枠で放送する。
すでに撮影は始まっており、主人公で法医学者の万木朝顔を演じる上野樹里が、家族で雪だるま作りに興じるキービジュアルも公開されている。しかしこの時期になぜ、フジテレビでは同ドラマの制作を強行できるのだろうか。
「本作はタイトルだけを見ると医療ドラマに思えますが、実はむしろ警察ドラマに近い内容。主人公は大学の法医学教室に勤務する医学者であり、医師免許を持つ医師ではあるものの、医療行為には従事しません。それゆえ作中に病院が出てくることもほとんどなく、メインとなるのは主人公が勤める興雲大学、そして彼女の自宅なのです。事件を調査する一環で街の産婦人科や診療所を訪問する場面はありますが、その程度のロケなら休業中の医院や専門のスタジオで対応可能。大きな病院でロケを行う必要はなく、このコロナ禍でも撮影に支障はないというわけです」(テレビ誌ライター)
そんな「監察医 朝顔」の制作には、他のテレビ局も熱い視線を送っているというのだ。
「テレビ業界では《医療ドラマは鉄板》と言われており、本来ならどの局も医療ドラマを制作したいところ。それゆえ大病院や手術シーンの撮影が難しいこの時期に、あえて医者が登場するドラマに挑むフジテレビの手法に注目が集まるのも当然でしょう。さすがに法医学者は特殊すぎる分野ですが、たとえば『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)のように地方医療に焦点を当てた作品や、獣医ではありますが相葉雅紀主演の『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)のように町医者が主人公の話なら、この時期でもロケは可能なはず。いまごろ各局のドラマプロデューサーは、町医者が活躍するマンガや小説を読み漁っているかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)
医療ドラマの新たな潮流がここから生まれるのかもしれない。
(北野大知)