大トロ、カニ、和牛…高級食材“大幅下落”関係者の困惑と消費者の歓喜

 新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンド需要の減少やイベント・宴会などの自粛によって高級食材の価格が大幅に下落しているという。一部スーパーでは格安で販売するところも現れ、消費者にとっては普段食べられない高級食材を味わえるまたとないチャンスとなっている。

「全国農業協同組合中央会によれば、神戸牛などの高級ブランドの牛肉は1月の平均価格から約2割も値を下げているといい、札幌中央卸売市場ではタラバガニの価格が平均価格の3分の1まで下落、豊洲市場では冷凍マグロの価格が16%減少しているといいます。また、水産庁によれば山口県下関ではフグの価格が前年比で4割下落しており、ノドグロでも今年1月に比べ約3割落ち込むなど高級食材の価格が軒並み下がり続けているのです」(フードジャーナリスト)

 高級食材の値下がりと販売不振を受けて、総合スーパー「イオン」を展開するイオンリテールでは、18日から「水産物応援セール」として花咲ガニやアマダイ、キンメダイなどの高級魚介を3〜5割安い価格で販売。島根県松江市にあるスーパーでは、松葉ガニと紅ズワイガニおよそ200匹を半額近い価格で販売した。

 これにネット上では、《食品ロスにしてしまうよりも安値で販売した方が、店側にとっても消費者にとってもウィンウィンでしょ》《松葉ガニむちゃくちゃ美味しいんだよね。半額セールをぜひ通販でもやって欲しい》《高級食材なんて普段食べないから、スーパーで売ってたら買ってみようかな》《ここ数年高級食材の値段がやたら高いと思っていたら、訪日客のせいで高くなっていたわけか》などの意見が寄せられていた。

「高級食材を消費者に安く売るというのは素晴らしいことだと思います。豊洲市場では大トロがまったく売れず、在庫が膨らんでいるという話もありますから、食材をダメにしてしまう前に消費者に還元した方がいいのではないか。今年はもう儲けよりも今まで高級食材を食べたことのない消費者に味を覚えてもらって、来年以降のリピーターを期待するという考え方もできますからね」(前出・フードジャーナリスト)

 この機会に高級食材を存分に味わってみてはいかがだろうか。

(小林洋三)

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