長時間の正座は体罰、厚労省の指針に「昭和の学校は全部アウトー!」

 しつけのためであっても、親が子供に長時間の正座など、苦痛を与えてはいけない−−。

 来年4月に施行される改正児童虐待防止法などを受け、厚生労働省の有識者検討会がまとめた体罰の範囲などに関する指針案の概要が、12月3日付の共同通信で報じられた。
 
 この指針案では体罰を「身体に苦痛を与える罰」と定義し、具体例として殴る、しりを叩く、長時間の正座などは体罰に当たるとしている。

「本案では体罰をかなり包括的に、広い範囲で捉えているのが特徴。ネット上では、《「良い体罰」といった考えの否定は画期的》《“怒る”と“叱る”の区別ができない親に対して有効》などと、肯定的な声が多いようです。なにより注目したいのは、殴る・叩くといった手が出る行為だけではなく、正座の強要という手を出さない手段も体罰だと定義したこと。昔から正座はしつけの一環と捉える風潮もありますが、子供の身体に苦痛を与えることには変わりはなく、今回の指針案は自分が正しいと思い込んでいる毒親に対する大きな抑止力となりそうです」(毒親問題に詳しい女性誌ライター)

 一歩踏み込んだ内容の指針案に賛意を示す声が多いなか、いまや親世代の人たちからは《我々が子供の時にこの指針が欲しかった!》との恨み声も漏れ伝わってくるようだ。

「昭和の時代はもちろん平成になっても、学校教育では生徒に正座を強要するケースが多々ありました。なかでもよく聞かれるのが修学旅行での体罰。自由時間や就寝時間を守れなかった場合、学校外では大声で叱責することができないため、《反省するまでそのまま座っていろ!》と正座を強要させられたものです。なかには1時間もの正座で立てなくなったり、旅館だと玉砂利風の床に正座したことで足に砂利の跡が残ったりと、まさに虐待レベルの体罰だったこともありました。今回の指針案はあくまで家庭内を対象としていますが、親に禁止されることを学校でできるはずもありませんから、今後は学校での正座強要もなくなっていくことでしょう」(同前)

 正座による体罰を知らない令和の子供たち。正しいこととはいえ羨ましくもあり、親世代としては複雑な気持ちもあるのかもしれない。

(北野大知)

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