韓国・李在明政権が誕生の場合に求められる日本の対応とは

 2025年4月14日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が内乱罪で初公判を迎えた。

 昨年12月3日に発動された非常戒厳令という前代未聞の騒動が引き起こした政治的嵐は、ついに法廷での決着を見据える段階に突入。尹氏の罷免後、韓国政治は混迷を極め、次期大統領選の最有力候補として浮上した李在明(イ・ジェミョン)氏の動向に、世界の目が注がれている。

 検察側は、尹氏が国家の秩序を故意に破壊しようとしたと主張。戒厳令の背景には、支持率の低迷や汚職疑惑からの逃避があったとされる。一方、尹氏側は「国家の安全保障を守るためのやむを得ない措置だった」と起訴内容を全面否認しており、法廷では激しい攻防が予想される。

 とはいえ、国民の多くはすでに尹氏に背を向けており、公判の行方は、単なる政治的な「過去の清算」にとどまらない意味を持つ可能性もある。それよりも、韓国政治の「次の主役」である李在明氏の動向が注目されているのである。

 李氏はかつて、日本への強硬発言を繰り返し、徴用工問題や慰安婦問題で厳しい姿勢を示してきた。22年の選挙戦では「日本との関係は歴史問題を解決してから」と述べ、保守派から「反日扇動者」と批判された。しかし、最近では「日本への愛情は深い」と発言するなど、対日姿勢に微妙な変化が見られる。これは、次期大統領としての責任を意識し、国際社会での孤立を避ける戦略なのか、それとも単なる選挙戦術なのか。 いずれにせよ、李氏の言葉には常に「計算」が見え隠れする。

 日本側はどう動くべきか? 李在明政権が誕生した場合、感情的な反応は禁物だ。過去の歴史問題で応酬を繰り返せば、両国ともに疲弊するだけ。岸田政権、あるいはその後継政権は、経済と安保の観点から「大局的な協力」を模索する必要がある。例えば、日韓共同での半導体サプライチェーン強化や、北朝鮮の脅威に対抗する情報共有など、互いの利益が一致する分野での対話を優先すべきだ。同時に、歴史問題での過度な譲歩は国内の反発を招くため、毅然とした姿勢も欠かせない。

(北島豊)

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