近年、都市部を中心に広がりを見せている自転車・電動キックボードシェアサービス「LUUP」のポート設置場所問題が波紋を広げている。
ポートとは電動キックボードの貸出、返却するための場所のことで、最近はマンションやアパートの遊休スペースに設置されることも多い。自動販売機などに比べ大がかりな工事を必要としないことや、設置協力費としてサービス会社から収入を得られることもあり、最近はあちこちに広がっている。
ところが急速に設置場所が増えたためだろうか、中には「避難器具降下地点」、いわゆる非難ハシゴの昇降場所を塞いでいるケースが見受けられ、問題視されている。実際にX上では、避難器具降下地点にLUUPのA型看板やキックボードが堂々と置かれている写真が次々にアップされており、「人命を守る為の消防法を軽んじている感が伝わってきます」「設置したLUUP側も、設置させたマンション側もどないなってんねん!」などと呆れる声が続出している。
LUUPの運営会社は一部メディアの取材に対し、「速やかにポートの設置箇所の変更等の対応を行っております」と回答しているが、違反事例が多く、いまだに放置されているケースも少なくない。
そんな中、あるXユーザーの「消防は警察より甘くない」という、こんな投稿が注目を集めている。
「消防法は消防長または消防署長に対して防火対象施設(ホテルも入る)に関し、防火上問題があればその是正がされない場合、防火対象物の使用の禁止、停止又は制限をできる権限を与えるので権限がめちゃくちゃ強いのですね」
防犯・防災問題に詳しいジャーナリストが語る。
「ホテルや飲食店、集会場など人が集まる建物はたいてい防火対象物になっており、違反に対して消防は素早く厳重に対処します。運営会社やホテル、マンションの管理組合に連絡するよりも、消防法関連で通報すると撤去の動きが早いため、『消防は警察よりも甘くない』という声が上がったのでしょう」
最近は一部不動産オーナーの間で、物件の表面利回りが上がることから、ポートを設置する動きが活発になっている。オーナー側の手出しは一切なく、ポートの管理はLUUP側が行い、さらに複雑な解約条件もないため、ちょっとした空きスペースさえあれば、積極的にポートを設置しているというが、中には消防法を無視したずさんなケースも少なくないようだ。
電動キックボードを巡っては、これまでも信号無視や逆走などが問題視されている。交通ルール違反に加え、さらに消防法違反まで指摘されるようでは、今後、サービスの存続問題に発展する可能性もあるかもしれない。
(ケン高田)
*写真はイメージ