卓球・スウェーデンオープン(10月1〜6日)の女子シングルス決勝で、伊藤美誠が中国の陳夢にゲームカウント3−1で惜敗した。しかし、世界ランキング1位選手を最後まで苦しめ、中国勢は「東京五輪では要注意」の意識をさらに強めたという。
「この大会中、伊藤は中国から『大魔王』と言われ、恐れられていました。前大会で中国勢に全勝し、優勝したからです」(体育協会詰め記者)
強い伊藤。その“大魔王ぶり”は卓球大国・中国に対してだけではなく、国内にも及んでいた。伊藤は9月に世界ランキング7位となり、国内トップに躍り出た。スウェーデンオープン直前に発表された10月ランキングでも、伊藤の国内トップは変わらなかった。
現在、日本女子選手は、7位・伊藤、8位・石川佳純、9位・平野美宇の順番。ここで尻に火が付いたのが、石川だ。
「平野が石川に303ポイント差で肉薄しています。スウェーデンオープンで平野は石川と組んでダブルスを戦いましたので、2人とも同じポイントを得た計算ですが、石川は4月時点でランキング6位でしたからね。ズルズルと後退しています」(同前)
今シーズンは大きなポイント数が稼げる大会が増えたため、東京五輪出場を狙う上位選手はたくさんの大会にエントリーしなければならない。出場した試合数によって当落が決まるので、まさに体力勝負。そうなると、26歳の石川と今年19歳の伊藤、平野の年齢差がカギとなる。
卓球シングルスの五輪代表は2020年1月発表の世界ランキングの上位2名が自動的に選ばれ、団体戦要員の3人目は国内連盟による選考で決まる。ダブルスの相性や次の次の五輪を考慮し、「成長著しい佐藤瞳、加藤美優、早田ひならの若手を」となるかもしれない。石川がトップを死守していれば、こんな心配もなかったのだが…。
「伊藤は試合開始と同時に目つきが変わります。卓球の試合は日に2、3試合行われることもあり、『次の試合まで3時間待ち』なんてのもザラ。その間、伊藤は顔にタオルをかけて爆睡しているんですから大したものです」(関係者)
他選手は緊張して、それどころではない。伊藤の強さはその図太さにもあるようだ。まさに大魔王である。
(スポーツライター・飯山満)