2012年7月から提供、販売が禁止された生食用の牛レバー。これにより焼き肉店などの定番メニューだったレバ刺しが食べられなくなってしまった。一方、生ユッケも同時期にほとんど消えてしまったが、こちらは厳密には法律で禁止されているわけではない。だが、飲食店で提供するには数々の厳しい条件が設けられ、コスト的に見合わないのだ。
レバ刺し禁止からすでに干支がひと回りし、牛肉の生食文化は過去のものとなりつつあるが、これはあくまで日本国内の話。焼き肉店は海外にも、アジアや欧米の都市部を中心に数多くあり、これらの店ではレバ刺しや生ユッケが人気メニューになっているという。
「海外でしか食べられないので駐在員の中にはそれ目当てで通う人も少なくありません。また、韓国や台湾、東南アジアは日本から比較的近いので、現地の焼き肉店でレバ刺しや生ユッケを食べるために訪れる旅行者も増えています。ちなみに私もそのひとりです(笑)」(飲食業界専門誌記者)
ただし、気を付けたいのは値段だ。特に日本式の焼き肉店の場合、海外だと高級レストラン並みの価格になっている店もあるからだ。
「日本から空輸で仕入れている店は料金が高く、1皿2000円なんてところもあります。でも、新鮮な牛のレバーや生肉は焼き肉大国の韓国はもちろん、それ以外のアジアの国々でも比較的簡単に仕入れられる。そのため、東南アジアには1000円以下の良心的な価格で食べられるところも多いですね」(同)
また、国によってはレバ刺しを屋台で提供する店もあるという。
「個人的にオススメしたいのは、バンコクのプラカノン地区のローカル向け屋台街にある『Larb Lab Lab(ラープラップラップ)』。現地在住の日本人の間では知る人ぞ知る名店で、値段は半年前に訪れた時点ではレバ刺しも生ユッケも70バーツ(約290円)。日本式の焼き肉店で提供されるものとほぼ変わらず、噂にたがわぬ美味しさでした」(同)
海外旅行ではその国の料理を味わう人が多いが、ついでにレバ刺しと生ユッケも楽しみのひとつに加えてみるのもいいかもしれない。