野口健氏が提唱!ホントは危ない富士登山「やってはいけない7カ条」(2)夜間登山はデメリットだらけ

 山の天気は変わりやすいというが、命に直結する〝雷〟にも十分注意すべきだ。富士山の登山道は、ほとんど木がないため、登山中の人に落ちてくることもあるという。

「雷雨の時、基本的には山小屋に避難できません。だからといって、『雷を避けるために山小屋の軒下に避難する』のはやめましょう。小屋に雷が落ちた場合、感電してしまう危険があるからです。激しい雷が続く場合は、小屋から離れ、雨具をしっかり着込んで体を冷やさないよう待機してください。その時、低い姿勢でかかとを地面につけず、足を閉じる。お尻は地面から浮かすようにして、耳を手で押さえて我慢してください。雷が激しいのは15~20分ほどなので、その姿勢を維持しましょう」(猪熊氏)

 富士山頂からのご来光は格別なだけに、山小屋に泊まらず、夜間登山をする人が多いのも富士山の特徴だ。そのため、周囲が見えにくく、事故が起こりやすくなるのだが、

「夜中に山を登ろうとするならば、ヘッドランプは欠かせません。意外とランプの電池が切れてしまうこともあります。そのため『ヘッドランプのバッテリーを用意しない』で登ると、とても危険です。また、ヘッドランプの灯りだけだと、黙々と登ってしまうので、高山病のおそれも高まります。また、仲間の顔も見えにくくなるので、誰かの体調が悪くなっても気づきにくいなど、デメリットがあまりにも多い。『初心者の夜間登山』は当然、お勧めしません」(野口氏)

 夜間登山について、猪熊氏も気象の観点からこうアドバイスする。

「夜間は風が強くなりやすいです。そうなれば、転倒や滑落、低体温症の危険は言うまでもなく上がります。夜間の登山は避けて、ご来光は山小屋から見るのも手ですね」

 準備さえ怠らなければ、防げる事故は多い。富士登山をレジャーの一つと軽く考えず、危険な行為7カ条を胸に刻んでチャレンジしてほしい。

【富士登山べからず7カ条】

①水分補給を怠る
②急いで登る
③糖分を用意しない
④替えのインナーを用意しない
⑤落雷時に山小屋の軒下に避難
⑥ヘッドランプの予備電池の不用意
⑦初心者の夜間登山

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