「あずきバー」の井村屋グループ新社長にバイト出身女性が就任

 先ごろ「あずきバー」などで知られる井村屋グループが、4月1日付で中島伸子副会長が新社長に就くことを発表した。

 同社のトップに女性が就くのは初めてのことで、しかも中島氏はアルバイトからの叩き上げ。現場に近い感覚を持つ社長のもと、2年連続最高益の好調ぶりからさらなる飛躍へと息巻くが、市場関係者はある企業を引き合いに出し不安視する。

「女性でバイトからの叩き上げといえば、ブックオフコーポレーションの橋本真由美元社長とダブります。橋本氏も時給600円のパートから東証1部上場企業の代表取締役社長に就任と大きな話題になりましたが、2006年の就任翌年にはグループぐるみの不正会計問題が発覚。橋本氏が常務時代に架空売り上げに関し黙認していたことも明るみになり、社長を辞任、代表権のない取締役会長に就任後、昨年9月に辞任しました」(経済ジャーナリスト)

 中島氏の社長就任に、投資家などが集うSNSでも、《バイト出身の社長というと聞こえはいいが、あまり成功例を知らない》《単なる話題作りなのではないか》など、懐疑的な声が多いのだ。

「ただし中島氏の場合、毎月1日を『あずきの日』とするアイデアを出し、新キャンペーンを展開するなど、『あずきバー』の好調を牽引した立役者の一人。橋本氏が社長になった57歳よりも上の66歳で、年齢なりの実績をしっかり積んできた人物です。初の女性トップであることや、アルバイト出身であることばかりに注目されがちですが、どんな手腕を発揮するかお手並み拝見といったところでしょう」(食品業界誌専門記者)

“硬い”がウリの「あずきバー」に反した柔軟な頭脳で、グループのさらなる発展を呼べるか。

(小島洋三)

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