Xのオーナー、イーロン・マスク氏が4月15日、“ボット対策”として新規ユーザーの投稿に対し少額の課金制度を導入する方針であることを明らかにした。すでにニュージーランドなどで導入されている有料制度「Not A Bot」の対象地域を拡大するとみられているが、むしろユーザーは減りボットがのさばる退廃的な世界が訪れるとの指摘もある。
マスク氏は、Xに関するニュースを発信するアカウントX Daily Newsが「Not A Bot」を拡大させる可能性があると報じたものを引用する形で、「ボットの攻撃を抑えるためには新規ユーザーの書き込みに少額の料金を課すことが唯一の方法」と投稿。具体的な金額や導入時期などについては説明していないが、料金が課されるのは最初の3カ月で、その後は無料で利用できるようになるとしている。
「昨年10月には、ニュージーランドとフィリピンでボット対策のテストとして、新規ユーザーが投稿やリポスト、『いいね』をするためには年額1ドル(約150円)のサブスクリプションを支払わなければならない(すでにアカウントを持つ既存ユーザーは除外)制度が導入されています。X社はこのテストの結果が分かり次第報告するとしていましたが、その報告がないままにマスク氏から対象地域拡大が明かされた形となります」(ITジャーナリスト)
それにしても、この有料制度はボットに対して本当に有効なのか。
「拡大地域の具体的な金額などは分かっていませんが、例えば3カ月で150円程度の金額であれば、ボットを運営するスパム業者は何の躊躇もなくお金を払ってしまいそうに思えます。一方、一般の新規ユーザーはクレジットカードなどの登録を求められるわけですから、気軽にアカウントは作れなくなる可能性が高い。そうなると、Xでは新規ユーザーが増えず、スパムボットやインプレゾンビが大量に徘徊するカオスな世界になっていってしまうかもしれません」(同)
ニュージーランドとフィリピンのテストではどれだけのボットの排除に成功したのか、その結果だけでも教えてもらいたいものだ。
(小林洋三)