町田ゼルビア「J1快進撃」でも観客動員が伸びない「天空の城」風評

 今季からJ1リーグに昇格した町田ゼルビアが旋風を巻き起こしている。“苦戦必至”の下馬評を覆し、優勝候補の名古屋グランパスや鹿島アントラーズを次々と撃破。4月3日にサンフレッチェ広島を相手に初黒星を喫したものの、第6節終了時点で4勝1敗1分け、勝点13で首位を走っている。サッカーライターが躍進の理由を明かす。

「昨シーズン、高校サッカーの名門・青森山田高校の監督から転身した黒田剛監督のもと、圧倒的な強さでJ2を制覇。J1でも勝ちにこだわった堅守速攻のスタイルを貫くとともに、徹底的に相手のウイークポイントを研究し、対戦チームはまんまと術中にハマっています」

 このまま最後まで優勝争いの“主役”になっても不思議ではないだろう。U-23代表でも大活躍したMF平河悠というスター候補も誕生。いまのところ不安要素は見当たらないと思いきや、サポーターの頭を悩ませる問題があった。前出・サッカーライターが説明する。

「ゼルビアのホームでもある『町田GIONスタジアム』の立地がとにかく悪いのです。市の陸上競技場で観客席も整っていませんでしたが、21年にバックスタンドを増設。ようやく1万5000席を用意して“J1仕様”になりました。ただ、アクセスの悪さは相変わらずで、最寄り駅の小田急線鶴川駅から徒歩で約60分。周辺の駅から無料の直行バスもありますが、混雑は避けられません」

 多摩丘陵地帯にあり、登山する覚悟が必要とも言われ、ゼルビアの試合を生観戦しても、リピーターになるにはハードルが高く、「快進撃」に水を差す形となっている。J1で初めて対戦するチームのサポーターも“洗礼”を浴びていた。

「これまで様々なアウェーのスタジアムに足を運んでいる中でもワーストに入るレベルで、試合後のSNSは、『立地がクソすぎる』などと罵詈雑言がお約束。クラブ側も『天空の城』と愛称をつけて、自分たちでもいじっています」(前出・サッカーライター)

 22年には、親会社のサイバーエージェントの強力なサポートもあって、建築家・隈研吾氏が設計したクラブハウスが完成。着々と環境が整い、好成績を挙げているが、前述したホームの第6節の入場者数は5240人。観客動員を増やすためにも、抜本的な打開策が求められそうだ。

(風吹啓太)

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