“日本人扱い”バレンティンのFA獲得に参戦する意外な球団

 東京ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティンが国内フリーエージェント権を取得した。バレンティンは「シーズンが終わってから考えるよ」と、メディアの反応を楽しむかのように意味深な物言い。ベテラン記者は、

「守備難と、来季36歳という年齢を考えると、移籍して大金を得るのは難しいでしょう。来季から外国人選手枠を外れるのはプラスですが」(ベテラン記者)

 そんなことから、当初はヤクルト残留の線が濃厚との観測もあった。しかし、セ・リーグのライバル球団の評価は違うようである。資金力豊富な巨人や、通勤圏のDeNAが「シーズンを通し、安定した数字を残せる」として興味を示している。さらに、意外な球団も獲得に参戦しそうだという。

「広島ですよ。広島はこれまでFAでの獲得には消極的でしたが、今オフは状況が異なります。このまま行けば、優勝はおろか、Aクラスを確保するのも危うい。丸の補償で得た長野久義もシーズンを通して働く力はなく、薬物検査で陽性反応が出たバティスタの処遇もまだ決まっていません。NPBは6カ月の出場停止を伝えましたが、球団としても何らかの処分を下さなければ、ファンはもとより、球場に広告を出している企業も納得しないでしょう」(球界関係者)

 長野は終盤戦で4番を務めたり、ようやく本来の調子を取り戻しつつあるが、元々はレフトでの起用を想定していた。ゴールンデングラブ賞を受賞している守備の名手だが、なぜかレフトだけは苦手ときている。

 バレンティンの定位置もレフト。守備難は長野と同じだが、一発の脅威は段違いだ。広島が主砲・鈴木誠也の後を打つ大砲としてバレンティンを獲得すれば、得点力アップは必至。西川、坂倉らの成長を待つ間、バレンティンで切り抜けるという発想だ。
 
「今季のバレンティンの推定年俸は4億4000万円。山田哲人が4億3000万円とされ、外国人選手を含むチーム総年俸だと、ヤクルトは巨人、ソフトバンク、阪神に次いで4位。経営面での理由からバレンティンとの残留交渉には臨めないでしょう」(選出・ベテラン記者)

 年齢的なところから、他球団に移籍しても年俸は“微増”と予想されたバレンティンだが、広島が興味を示したことで高額年俸を提示する球団が現れるかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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