ロシア航空会社が戦争のどさくさ紛れにリース飛行機「借りパク」⇒激安買い取りのふざけた事情

 航空会社の飛行機は各社保有の機材と思われがちだが、実はリース会社からの「借り物」であるケースが少なくない。すでに航空各社の50%以上はリース機で、その割合は今後さらに増えていくと見られている。

 ただし、借り物なので期限が来れば返却、または契約を更新しなければが、これらを一切無視していたのがロシア。ウクライナへの軍事侵攻が始まった2022年2月当時、アエロフロートロシア航空やS7航空などの同国のエアラインは、各国のリース会社から提供してもらっていた515機の機材をそのまま“借りパク”してしまったのだ。

 その後の動向は報じられることがほとんどなかったが、一部の機材については大きな動きがあったようだ。

「昨年9月には18機とエンジン5基をリースしていたアイルランドの『エアキャップ』、10月には16機をリースしていた三井フィナンシャルグループの『SMBCアヴィエーションキャピタル』と4機をリースしていた中国系の『CDBアビエーション』とロシア側の間で、それぞれ和解に至っています」(航空専門誌記者)

 だが、いずれも機材はロシア側が接収。そのため、業界関係者からは「和解といってもロシア側にとって都合のいい条件に過ぎない」との声も聞かれる。

「ロシア政府はリース中の航空機について返却の意志はなく、すべて買い取る方針だと言われています。経済制裁の影響でエアバス、ボーイングの2大航空機メーカーからは、現体制が続く限り新機材や部品の納入を受けるのは極めて困難な状況です。リース会社も損する形になっても多少でお金を回収したい。そんな思惑もあって妥協したのでしょう」(同)

 とはいえ、和解が公表されたのは全体の1割にも満たない。

「金額が大きいですし、交渉が難航していると思われます。しかし、戦争が終結する気配はなく、戦時下でも特需の影響もあってロシアは好景気。譲歩はあまり期待できず、条件が悪くても和解に応じるリース会社は今後増えていくことが予想されます」(同)

 ロシア側の「借りパクした者勝ち」のような展開には釈然としない部分もあるが…。

※画像はアエロフロートロシア航空

ライフ