今年行われるアメリカの大統領選挙では、共和党の指名候補争いで、初戦のアイオワ州に続いて23日に投開票されたニューハンプシャー州でもドナルド・トランプが勝利したことで、〝トランプ・フィーバー〟の様相を呈している。
白人保守層への過激な訴えがトランプと似ていることから「ミニ・トランプ」と言われ、あるいは、ハーバード大卒業のインテリなために「脳みそのあるトランプ」とも呼ばれたロン・デサンティスフロリダ州知事は1月21日に指名候補争いから撤退。保守層の支持割れが回避されたこともトランプ熱を後押しした。
すると日本と同様、アメリカでも23日にはニューヨーク株式市場でダウ平均が史上初めて3万8000ドルを突破して勢いを増す中、「トランプ銘柄」にもフィーバーが起きている。
「特別買収目的会社のデジタル・ワールド・アクイジション・コープは、トランプのSNSの『トルゥース・ソーシャル』を運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループと合併する予定ですが、デサンティスが撤退を表明した翌22日には株価が88%も高騰。その間、6営業日にわたって続伸して、株価を200%も上げたのです」(経済ジャーナリスト)
アメリカ株は好調な決算発表が見込まれるIT株を中心に上げているが、今やIT技術が選挙の趨勢を左右するという事で、大統領選挙で共和党絡みで技術が用いられた経緯がある企業が軒並み高値となっている。
「もっともアメリカ大統領選挙では、莫大な金額がPR合戦に投下されるという現実的な根拠があって、アメリカ大統領選挙がある年は軒並み株価が上がるというアノマリー(経験的に観測される株式市場の規則性)があります。前回トランプが大統領になった年は、年間でアメリカの株価は13.4%上がりました。逆に珍しく下げたのが、09年のオバマ就任前年の08年で、この時は33.8%も下げましたが、08年はリーマンショックが起こった年ですから仕方がない側面も大きいでしょう」(同)
今年は日米で株価が熱狂しそうな気配ではあるが、さすがに世界に冠たるアメリカ大統領が、熱狂の雰囲気だけで選ばれる事態にはなって欲しくないものだ。
(猫間滋)