ショッピングモールや遊園地などの娯楽施設で、即興で客の似顔絵を描く「似顔絵師」たちが、コロナ禍の影響で苦境に立たされているようです。
そんな状況もあって、最近は「Zoom」などオンラインビデオ通話アプリを使って、プロが似顔絵を描いてくれるサービスが登場。こうした取り組みがもっと広まれば、「似顔絵師と向き合って間近で顔をジロジロ見られるのが恥ずかしい」「描いてもらっている姿を通行人に見られることにためらいを覚える」といった理由から、今まで一度も似顔絵を頼んだことがないという人も、利用する機会が増えていくのではないでしょうか。
くふうしだいで、似顔絵描きの需要はまだまだ見込めそうです。
そこで今回、ご紹介するのは「似顔絵検定」。似顔絵の描画力をはかることができる検定です。
それでは例題を見てみましょう。
〈問1〉ドナルド・トランプ米大統領を描く際に、最も強調すべきパーツはどこでしょうか? 【1】耳、【2】首、【3】歯、【4】髪
〈問2〉実際にトランプ大統領の似顔絵を「両手でダブルピースしているポーズ」「Tシャツ&短パン姿」「一面に広がるひまわり畑の背景」という条件で描いてみてください。
実際の問題もこのように選択式や実技形式で出題されます。例題の答えは〈問1〉が【4】(問2の模範解答は割愛)となっています。検定のランクは6級から1級まであり、試験開催地は東京、大阪、愛知、福岡などの各会場となっています。
特にプロのイラストレーターを目指している方は、この検定の受検はいい訓練になると思います。著名人の似顔絵を描くのはもちろん、例題のように編集者から「芸能人の●●さんが××している感じの絵を描けませんか」と、具体的な仕事のオファーが舞い込むことも出てくるでしょう。新規の仕事を獲得するための営業活動でも、この検定の合格証は大きな武器になるはずです。
似顔絵描きの腕を振るう機会は、商業誌や冒頭のような露店だけにとどまりません。
一般のビジネスマンにも似顔絵のスキルは役立つはず。職場の上司や取引先でSNSをされている方がいたら、こう声をかけてみてはどうでしょうか。
「もしよろしければプロフィール用のイラストを描かせてもらえませんか。お時間は取らせません」
プロの似顔絵師になると、一人描き上げる時間は約10分と言われています。接待の席などでササッと少し男前に描いてあげれば、誰も悪い顔はしないでしょう。イラストをきっかけに「友達申請」をして、SNS上でさらにコミュニケーションを深めることにもつながるはず。
似顔絵のスキルを持つ「素人」は、なかなか珍しい存在。だからこそ、その希少価値をビジネスシーンに生かしてみてはいかがでしょうか。
儲かる指数:68
鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は650