読売新聞が報じた「避難所の自販機強盗」、地元紙が即座に否定した驚きの顛末

 読売新聞オンラインは1月6日、能登半島地震の避難所となっている県立穴水高校で自動販売機が壊され、中から飲料と金銭が盗まれたことを報道。ところがこの記事に“誤報”疑惑が浮上し、物議を醸している。

 記事では5日午後8時頃、校庭に金沢ナンバーの車が現れ、40~50歳代の男女4、5人の集団が校内に入り、女の指示を受けた複数の男がチェーンソーを使って自動販売機を破壊し、飲料水や金銭を盗んだと報道されていた。

 ところが6日夜になって、地元紙の北國新聞が自販機破壊は「避難者の飲料水を確保するため」だったと報道。記事では実際に自販機を壊した人の「自分も避難者で、飲み物を確保するために自販機を壊していいか(管理者に)確認した」というコメントとともに、石川県警が「事件性はない」との見方を示したことが報じられている。

 どうやら読売新聞がきちんと事実確認をしないまま記事にしたようだが、果たして問題はなかったのか。

 週刊誌編集者が語る。

「自販機破壊は水不足のために管理者の許可を得て行われましたが、読売新聞は目撃者の話として『「けたたましい音が学校中に響き渡っていた。避難所はパニックになり、誰も止められなかった」とおびえた表情で語った』などと、“火事場泥棒”が行われたように報じました。読売新聞はその後、記事を削除しましたが、現在まで訂正は行われていません」

 穴水高校はそもそも避難場所ではなかったため、備蓄食料は用意されていなかった。そのため、現場にいた学校関係者の許可を得たうえで、地元の建設会社の社員がサンダーで鍵を破壊。高校生も手伝って自販機の飲料水やパンを避難者に均等に配ったという。

 今回は地元紙・北國新聞の記事によって、実際には強奪ではなかったと見られているが、なんともお騒がせな報道となってしまった。

(ケン高田)

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