楽天・田中将大への来季年俸の大幅ダウン提示は意味シンだ。今季は7勝11敗、防御率4.91。「らしくない成績」であり、日本球界復帰後、初の規定投球回数にも届かない屈辱のシーズンでもあった。
一部メディアによれば、今季推定年俸の4億7500万円プラス出来高から「減額制限」を超えるダウン提示がされるとあり、「交渉は年越しとなりそう」とこぼしていたという。
「契約更改のテーブルに着く前、球団は各選手と事前のすり合わせをします。実際の交渉が始まる前に『年越し』なんて言葉が出るということは、意見の食い違いがかなり大きかったのでしょう」(球界関係者)
楽天の査定を担当しているのは、外国人選手の調査、契約を扱う国際部長だ。国際部長ともなれば、名門・ヤンキースの先発ローテーションを守ってきた田中のプライドにも配慮してくれそうだが、こんな指摘も聞かれた。
「メジャーリーグとNPBでは投手の査定方法が異なります。とくに、先発投手では顕著な違いがあるんです。日本では勝敗、防御率が重視されますが、メジャーではイニング数や登板数が大きな加点ポイントになっています」(米国人ライター)
例えば前年の契約更改で、田中が推定年俸9億円からの大幅ダウンとなったのを受けて、米メディアは「25試合、163イニングを投げたのに!?」と、首を傾げていた。9勝12敗、防御率も3.31だった。日本流の査定ではダウン提示となるが、MLB式では昇給もあり得る結果だと解釈されていたそうだ。
野球観の違いであり、田中自身ものMLB式の査定方法に固執しているわけでもない。昨オフも日本流の査定に従って大幅ダウンとなった。
「田中にとっては後輩の安楽のハラスメント問題やチームの低迷、今春のWBCメンバーに落選したことなど色々なことがあったシーズンでした。加えて加齢との戦いが始まっていることも、頭ではわかっていても気持ちで受け入れられないというか…」(前出・関係者)
交渉が年越しとなっても、球団と感情面で衝突することはないだろう。頭を冷やす冷却期間となるのなら、年越しも意味のあるものとなりそうだ。
(飯山満/スポーツライター)