周囲は気を遣い過ぎている?
東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手は、目下、次回の先発予定の5月15日オリックス戦に向け、調整を続けている。その結果次第では、対戦チームの田中に対する評価も変わりそうだ。
「前回5月8日の日本ハム戦で敗戦投手になっています。調子も悪く、初回から連打をくらい、マウンド上で首を傾げていました」(スポーツ紙記者)
同日のピッチングについて、「変化球を効果的に使い、プレートの立ち位置を変えるなど、悪いなりにまとめていた」と評価する声も少なくなかったが、「真っ直ぐが速くない」と厳しい評価もあった。渡米前の田中を知る対戦打者は「24勝0敗」と無敵を誇った2017年のイメージがあるからか、今の田中には脅威を感じないそうだ。
「たとえば、同日対戦した中田翔がそうです。その日もレフト前にクリーンヒットを放っており、今季の対戦成績は4割。完全にカモにされている状態です」(同前)
田中の試運転を兼ねたオープン戦でもホームランを放っている。
2020年、ヤンキースでのピッチングを見た米国人ライターによれば、「たしかに渡米した08年当時のスピードは出ていません。でも、ワインドアップ投法に変えるなどし、遅くなったとの印象はありませんでした」とのこと。ということは、今季の田中は昨季より球速が落ちているようだ。この件については、日米の公式球の違いが挙げられているが、それだけではない。
「前回登板で興味深いシーンが見られました。6回を投げ終わったあと、石井一久GM兼監督が交代を促し、田中は志願して7回のマウンドに上がりました。その後、2人は試合中にも関わらず、ベンチで何かを話し合っていました」(球界関係者)
石井GM兼監督はメジャーから日本球界に帰還、という同じ体験を持つ先輩でもある。公式球やマウンドの傾斜の違いを克服しており、調整法などで助言を送ったようだ。
「石井GM兼監督は『田中クン』と呼ぶんです。指揮官は選手を呼び捨てにするのが一般的ですが」(同前)
春季キャンプのチーム合流以降、首脳陣は田中に練習内容も全て任せてきた。実績十分な投手に対する配慮だが、「気を遣いすぎ」との指摘も出始めた。
「メジャーでは、先発投手は中4日の登板間隔で投げ、80球から100球程度で交代します。その調整法が体に染みついていて、日本式のある程度の長いイニングを投げようとするあまり、スタミナ配分がうまくできないのではないか」(同前)
昔は「マー君」、今は「田中クン」。呼び名同様、球速バツグンのオトナのピッチングを見せてもらいたいものだ。
(スポーツライター・飯山満)