楽天・田中将大“凱旋フィーバー”の皮算用「18勝と3度目の沢村賞は確実」

 楽天への復帰で地元・仙台では待望の「凱旋フィーバー」が日本中に巻き起こっているが、この夢物語にはまだ球団の野望の続きがあった‥‥。今キャンプ最大の話題の核心に迫る。

 楽天がヤンキースからFAとなっていた田中将大(32)と2年契約を締結し、8年ぶりの日本復帰を実現させた。前人未到の開幕24連勝で13年のチーム日本一に大きく貢献するなど、数々の功績を残したレジェンド右腕のカムバックは、楽天に計り知れないプラス効果をもたらしそうだ。

 早くも2月6日には沖縄・金武キャンプにも合流し、シーズン前から球春の話題を完全に独占。

 1月30日に都内で行われた入団会見には、ソーシャルディスタンス厳守のもと、100人を優に超えるメディアが集まった。

 まばゆいばかりのフラッシュを浴びる田中は、「東日本大震災から10年。FAになって初めてチームを選べる立場にあって、自分にとって意味のあるタイミングじゃないかと思い、決断に至った」と白い歯をのぞかせ、古巣復帰の理由を明かした。

 契約は2年。巨人のエース・菅野智之(31)を1億円も上回る推定年俸9億円は、NPB史上最高の金額だ。しかも、この契約内容には今オフのオプトアウト(契約破棄条項)も含まれており、田中が望めばMLBへの復帰も可能となる仕組みになっている。田中も、

「1年が終わった段階で、球団とお話しする機会を設けてもらっている。どうなるか自分もわからないが、まだアメリカでやり残したことがあると思っている。ワールドチャンピオンのリングもまだ手にしていない」

 と述べており、今オフのMLB再移籍を示唆。復帰を決めたとはいえ、田中はイニシアチブを確保し、まさに至れり尽くせりの好条件と言い切れるだろう。

 むろん、これだけの待遇を用意し、三顧の礼で迎え入れた楽天にも皮算用がある。田中自身も会見でこう述べている。

「求められているハードルは高いと思うが、そこをまた越えてやろうと思っている。やりがいはあります」

 名門ヤンキースで7年間通算78勝をマークした実績は文句のつけようがなく、本人も絶対的な自信に満ちていた。

 これに乗じるように楽天のフロント、さらには多くの球界OBや有識者の間からも早々と、「故障がなければ18勝以上は確実で、歴代最多タイとなる3度目の沢村賞受賞も濃厚」との声が出て、ほぼ共通の戦績ラインが立てられているのだ。8年前のように田中が再び白星を量産すれば、必然的に球団史上2度目の日本一もグッと近づく。

「ただでさえ楽天は、投手陣、野手陣ともに戦力は揃っている。その上での田中加入となり、ここ1~2年で楽天に加わった補強メンバーの涌井秀章(34)や浅村栄斗(30)、鈴木大地(31)らもメディアの取材に『もう楽しみしかない』と珍しく興奮しながら口を揃えています。それまで烏合の衆と揶揄されていたチームにとって、団結力を高めるピースが埋まったんです。昨シーズン途中で失速した最大の要因はブルペンですが、今季開幕から抑えとして起用される松井裕樹(25)にとっても、田中は自主トレを行っている『師匠』だけに、昨季の不振を覆すべくギアも上がるでしょう。不振にあえいだ『ガラスのエース』則本昂大(30)も、同じく自主トレに帯同。心酔する田中の復帰で、再び火がついている」(球団OB)

 即、チームに活気をもたらして、実戦で投げる前から超戦力となっているのだ。

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