岸田文雄首相は9日、政治資金パーティー販売ノルマ超過分の収入をキックバックさせるなどして裏金づくりをしていた疑惑を受け、松野博一官房長官を更迭する方針を固めた。自民党安倍派では、所属議員の10人以上に裏金づくりの疑惑が浮上しており、2018~2022年の5年間の総額で1億数千万円に上るとみられている。
東京地検特捜部は、13日の臨時国会終了後に捜査を本格化させる。安倍派では松野官房長官のほか、高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長、萩生田光一政調会長、西村康稔経産相の“5人衆”にも巨額の裏金疑惑が生じており、特捜部は議員本人にも事情を聴く見込みだ。
「特に松野氏、西村氏、高木氏の事務総長経験者は、安倍派のカネの流れを知る立場であることから事情聴取される可能性は高い。特捜部も証拠を固めているわけだから、聴取されれば辞任は不可避で、松野氏1人を交代させるだけでは終わらないだろう。誰かが立件されれば内閣は一巻の終わり。過去の辞任ドミノどころの話ではなく、岸田首相は国会が閉じたらすぐにヤバい面子を総取っ替えする内閣改造・党役員人事を行うしかない」(政治部記者)
安倍派では座長である塩谷立元文科相にもキックバックが報じられ、中枢幹部が裏金疑惑まみれというありさまだ。安倍晋三元首相死去後、後継会長選びが難航。対立を避けるため集団指導体制に落ち着いた経緯があるが、今回の問題で若手中堅議員に不安と不満が広がっている。一気に分裂・崩壊という目も出てきた。