日大アメフト部をめぐる林真理子同大学理事長らによる4日の会見で、林理事長は「学生の不利益になることは避けたいと一生懸命考えている。日大を信頼していただきたい」と声をふりしぼった。
確かに、ほとんどの学生たちが関与も意図もしていない不祥事のせいで、現役学生たちは将来への不利益を心配している。ネガティブなニュースが続いたせいで、近年はあきらかに志願者が減っているというのは都内の予備校関係者だ。
「2018年5月に発覚したアメフト部の悪質タックル事件以降、日大の闇が次々と暴かれて理事長が交代。それでも不祥事の連鎖は止まず、運動部によるイジメや薬物問題などが続出しています。私学助成金も3年連続で交付されておらず、当然そうした現実は受験生たちの心理に影響します。実はタックル問題があった翌年の2019年の入試以降、日大と他大学でダブル合格した際に、日大を回避するという流れが始まっていたんです」
受験業界では古くから、日大と偏差値の近い、東洋大、駒沢大、専修大を合わせて「日東駒専」という大学群に括ってきた。そしてかつては、この中で同時合格した場合、日大に入学する学生が圧倒的に多かった。ところが、それが劇的に変化しているというのだ。
「大学受験に関する人気YouTubeサイトによると、タックル事件が起こる直前の2018年入試では日大と東洋大に同時合格した場合、日大64%に対し東洋大36%と約3分の2の受験生が日大に入学していたといいます。ところが、タックル事件の翌年から東洋大が逆転。さらにその後の日大の不祥事もあり、2023年度入試では日大23%、東洋大77%と大差をつけられたというのです。近年、東洋大の人気が話題となっていますが、それでもこの短期間でこれほどの大逆転は通常考えられない。さらには、タックル事件後も7対3の割合で大きく上回っていた駒沢大学にも、2023年入試では日大46%・駒沢大54%とひっくり返されている。とにかく、受験生の日大回避の流れは止まらず、2024年入試ではさらに加速すると言われています」(週刊誌記者)
ある受験動画の東洋大学への学生インタビューでは、東洋大学の躍進について「東洋大が何かしたというより日大が勝手にコケただけ」という厳しいコメントもあった。
3年間助成金がないことで2024年は定員を大きく超える合格者を出すのではないか…とまで囁かれている日大。第1志望の受験生にとっては朗報という意見もあるものの…。
「私大の場合、受験料収入が経営のひとつの柱になっています。ところが日大はここ数年、志願者が減少傾向で、また合格を出しても蹴られることが増えたため、定員よりかなり多めの合格者を出すのではないかと見られているのです。ただし、合格ラインを下げると学力レベルも落としかねず、それを繰り返すと大学の質ごと落ちてしまう。そうなれば近い将来、日大が日東駒専という大学群から落ちてしまう…そんな最悪の事態も考えられます」(前出・週刊誌記者)
女子大人気にかげりが見えているように、大学のトレンドが変化することはままある。でも、それは時代の宿命であって、日大の場合はある意味“人災”と言えるだけに、復活できる可能性も大いにある。真面目に頑張っている現役学生のためにも、一刻も早く名門大学を立て直してほしい。
(飯野さつき)