日曜劇場「下剋上球児」の大苦戦は大ヒット「VIVANT」の反動だった

 豪華キャストにモンゴルロケなどで今年最大のヒットドラマとなった今夏放送のTBS日曜劇場「VIVANT」。最終回の直前に行われたファンミーティングでは、福澤克雄監督が「正直に言うと、僕の中では第3部まで考えて作ってる」と発言。現時点での正式発表はないが、続編制作はほぼ確実視されている。

 一方、同枠で10月から放送がスタートした鈴木亮平主演「下剋上球児」は、視聴率で苦戦中。先月29日放送の第3話は平均世帯視聴率9.2%、5日放送の第4話は同8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)まで落ち込んだ。一般的なプライムタイムのドラマなら合格ラインかもしれないが、「10%以上」がノルマとされる日曜劇場ではさびしい数字だ。

 ただし、この2話はいずれも裏番組が阪神-オリックスの日本シリーズの中継と被ってしまった不運があり、その影響を受けた可能性も否定できない。

「でも、過去に日本シリーズの放送と被った10月クールの日曜劇場の中には、VIVANTを上回る平均視聴率15.8%の『日本沈没―希望の人―』(21年)や16.0%を記録した『陸王』(17年)などヒット作品も多いです。日本シリーズの影響があったとしても言い訳にはなりません」(芸能記者)

 そもそも下剋上球児の初回視聴率10.8%は、今年放送された日曜劇場4作の中で3月期の「Get Ready!」(10.2%)に次いで下から2番目。第4話までのこれまでの平均視聴率も9.7%で、2010年以降に放送された日曜劇場55作品中49位に沈んでいる。

 とはいえ、視聴者からの反応は悪くはなく、業界関係者の評価も上々だという。

「実業団ラグビーを描き好評を博した日曜劇場『ノーサイドゲーム』(19年)と重ねるドラマファンも多いようです。ただし、同じ熱血スポーツもので、ストーリーの流れなど印象が近い点が気になります。その点、VIVANTは先の展開がまったく読めず、逆に盛り上がる要因になりました。そこが大きな違いでしょうね」(同)

 連ドラの場合、「VIVANT」のように終盤にかけて尻上がりに視聴率が伸びるケースはまれ。ドラマタイトルのように視聴率で下剋上を果たすのはかなり難しくなってきた。

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