ひと昔前はメディアでもやたらと取り上げられていた「プレミアムフライデー」。毎月最終金曜日は15時で業務終了となるよう企業に奨励し、同時に消費喚起のためのキャンペーンも展開。働き方改革の一環として政府提唱のもと、17年2月から導入されたが、最近はその言葉をとんと耳にすることはない。
それもそのはずで、これに関する様々な情報を発信していた「プレミアムフライデー推進協議会」の公式サイトは22年10月末で更新をストップ。さらに今年6月にはサイト自体が閉鎖された。その後は経産省のHPで細々と引き継がれているものの、更新はされておらず尻すぼみ感がぬぐえない。
その原因として一番に挙げられるのはコロナ禍による巣ごもり生活。リモートワークの浸透で“金曜日に早上がり”が意味をなさなくなった。プレミアムフライデーに連動した割引などを行っていた飲食店も、国や自治体からの営業自粛要請でそれどころではなくなった。
「これは完全に想定外の事態。ただし、20年4年に緊急事態宣言が出た時点でプレミアムフライデーの導入からすでに2年半が経過しており、当初のブームは影を潜めつつあった。そのため、コロナ禍に見舞われなくても、早晩同じような状況になっていた可能性は高いでしょうね」(ビジネス誌記者)
そもそもネット上では《政府と広告代理店によるゴリ押しキャンペーン》《ブームは見せかけ》なんて声もあり、本当に浸透していたか疑わしいとの声もかなり多かった。
「導入していたのは基本的に大企業ばかり。ある民間の市場調査では導入率は1割で、中小企業に至っては3%弱に過ぎなかったとのデータもあります。実際、15時終業を導入していた会社の社員たちに取材したこともありましたが、聞こえてくるのは『15時で帰れるのは一部の部署の連中だけ』『業務が多すぎて仕事がその時間に終わらない』といった不満の声ばかりでした(苦笑)」(同)
いずれにしても“実質終了”は避けられない運命だったのかもしれない。